診療科のご案内

頭痛外来

つらい頭痛にお悩みの方へ。

頭痛に悩まされているけど、どこで診てもらっていいのか、わからない…。
そんな方のための、「頭痛外来」です。

診療日
毎週月曜、8:30~11:00 予約不要
毎週金曜、8:30~11:00 予約制
11月8日~14日は山﨑医師不在となります。
予約受付
月~金曜、8:30~17:00まで
TEL:0120-29-1706 コールセンター
問診票

問診票がダウンロードできます。あらかじめご記入頂き、受診時にお持ち頂けると、待ち時間が短縮できますので、是非ご利用下さい。

お問合わせ

学会、出張等で不在の場合もありますので、受診前にはお問い合わせください。
TEL:0776-23-1111

Eブロック 脳神経外科[内線2110]

頭痛外来の特徴

『ようこそ頭痛外来へ』~つらい頭痛をあきらめずに治すために~

日本頭痛学会認定
頭痛専門医 山崎法明

頭痛は身近な病気で、誰でも経験したことがあるのではないでしょうか。同時に「頭痛ぐらいで」と考えがちで、病院で診察を受けることもなく、悩まれている方も多いのではないでしょうか。

当院では日本頭痛学会認定の頭痛専門医が、頭痛全般の診断と治療を行っております。2008年には県内の他の病院に先駆けて頭痛外来を開設し、年間1000人程度の方の診療を行っています。内服治療や運動療法で症状が改善する方、他の病気が頭痛の原因で、他の診療科で専門的な治療を受け頭痛が改善する方など、様々です。中には治療に難渋する人もいますが、頭痛が少しでも改善する方法がきっとみつかるはずです。

つらい頭痛でお悩みの方は、一度「頭痛外来」にご相談ください。

頭痛はちゃんとした病気です

頭痛と聞くと、片頭痛や風邪の症状としての頭痛、肩こりからくる頭痛など、いろいろ思い浮かべることができると思います。頭痛の種類は、大きく二つに分類できます。

  1. 一次性頭痛
    片頭痛、緊張型頭痛など、頭痛の原因となる他の病気がないもの
  2. 二次性頭痛
    脳腫瘍やくも膜下出血など、他の病気が原因のもの

頭痛はこれまでも広く認知されていたにも関わらず、一時性頭痛の診断や治療は軽視されがちで、治療の対象になっていたのは、二次性頭痛の方だったといえます。多くの患者さんがいるにも関わらず、頭痛は一時的な症状というイメージもあり、学校や仕事を休むことに罪悪感すら持ってしまうような側面があります。しかし、2005年から頭痛専門医制度が始まり、片頭痛の特効薬も登場するなど、頭痛の苦しみから解放される新しい時代が始まっています。

まずは危険な頭痛、原因のある頭痛かどうかを調べましょう

一次性頭痛の場合は、痛みの程度こそあれ、命に危険を及ぼすことはありませんが、二次性頭痛の場合は、痛みの原因となる病気 によっては危険を伴うことがあります。二次性頭痛の代表的な病気は、くも膜下出血、脳腫瘍、脳梗塞などがあり、いずれも迅速な手当 てが必要になります。
その他、整形外科的な病気である頚椎症や耳鼻咽喉科の病気である蓄膿症などが原因で頭痛を発生させていることがあります。
二次性頭痛は一時性頭痛と比べると圧倒的に少ないですが、頭痛外来で診察した結果、二次性頭痛であると判明した場合は、担当の診 療科へと連携いたしますので、安心して診察を受けてください。

片頭痛は脳の病気で、特効薬が著効!

片頭痛は血管性頭痛の代表といわれ、血管が縮んだり拡がったりすることで、血管の周囲にある神経が刺激されて痛みを感じます。片側だけでなく、両側が痛む場合もあります。片頭痛に悩んでいる人は、人口の約10%、全国で900万人の患者さんがいると考えられています。

片頭痛には、特効薬があります。2001年より特効薬「トリプタン製剤」が登場し、片頭痛の治療は大きく変化しました。医師の指示に従ってきちんと服用することで、多くの方が片頭痛の痛みから速やかに解放されるようになりました。
片頭痛に悩む患者さんのうち、男性と女性では女性の方が3.6倍も多いというデータがあります。女性に片頭痛が多い理由としては、女性ホルモンであるエストロゲンの存在が大きく関係しているといわれています。月経時に強い頭痛を感じている女性は月経時片頭痛と診断でき、エストロゲンの減少に伴い片頭痛が起きていると考えられるのです。女性の多くは、仕事や育児、家事などでなかなか休みを取ることができない方も多いと思います。そんな方こそ、専門の医師による診断と正しい薬物療法で、頭痛の少ない快適な日常生活を送っていただきたいと思います。

緊張型頭痛は心と身体への負担が主な原因で、薬よりもリラックス

一次性頭痛の中で、圧倒的に多いのが緊張型頭痛です。全国の患者も片頭痛の約900万人に対し、緊張型頭痛は2000万人以上といわれています。緊張型頭痛を引き起こしている原因は大きく二つあり、一つは筋肉の緊張からくる頭痛、二つ目は精神的緊張からくる頭痛です。

筋肉の緊張からくる頭痛とは、首のうしろから肩にかけて筋肉がこわばり、痛みの原因物質である乳酸やピルビン酸が出現することが原因です。一方、精神の緊張からくる頭痛は、仕事や家庭、人間関係など、心にかかるストレスが原因となります。痛みは前額部や頭全体に及びます。頭痛以外に、不眠やめまい、耳鳴りなどの症状を伴うことがあります。
片頭痛にはトリプタン製剤という特効薬が登場しましたが、緊張型頭痛に特効薬はありません。肉体的な緊張が原因ならば筋肉をリラックスさせる体操やストレッチで体をほぐし、姿勢を正すことが重要になります。心の緊張が原因であれば、ストレスの発散が必要であり、心の病気があるのならば、精神科(当院の場合はこころの診療科)の受診が必要な場合もあります。

どちらの場合も、痛みの程度によって、鎮痛剤や筋肉弛緩剤、精神安定剤を内服することがあります。現代社会では、ストレスを避けるのは難しい問題です。ご自分の頭痛について理解を深め、快適な日々を過ごすためにも、お気軽に頭痛外来までご相談ください。


主な病気と治療

スタッフ紹介

脳神経外科部長

山﨑 法明
(やまざき のりあき)

免許取得:平成6年

専門
頭痛、脳血管障害、救急一般
得意な疾患・治療
一次性頭痛(片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛)脳動脈瘤手術、脳血管内治療、
資格
日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医・指導医/日本頭痛学会認定頭痛専門医・指導医/日本脳卒中の外科学会技術認定医/日本脳神経血管内治療学会脳血栓回収療法実施医/日本DMAT隊員/AHA公認ACLSインストラクタ-/AHA公認ACLS Experiencedインストラクター

担当医スケジュール

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時間帯
午前初診一般外来
(頭痛外来)
※予約不要
頭痛外来
※要予約
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診療実績

あなたの頭痛の種類をチェックしましょう

Q1どんな痛み?

  • 「ガンガン、ズキズキ、ドクドク」など、脈を打つような痛み
  • 締め付けられるような重い痛み

Q2どこが痛む?

  • 頭の片側あるいは両側
  • 頭全体あるいは、後頭部や首すじ

Q3頻度は?

  • 週あるいは月に数回
  • ほぼ毎日

Q4どれぐらい続く?

  • 数時間〜3日程度
  • 数日〜ずっと(毎日)

Q5どの程度痛い?

  • 寝こむほど、家事・仕事ができないあるいはしたくない
  • 家事・仕事はできる

Q6頭痛以外に症状は?

  • 吐き気、光がまぶしい、音がうるさく感じる
  • 肩こり、不眠、ふらつき感

Aが多いあなたは
偏頭痛の疑いがあります

Bが多いあなたは
緊張型頭痛の疑いがあります

頭痛関連情報

頭痛の種類

頭痛の種類

えっ!! 頭痛ってこんなにいっぱい種類があるの?

単に『頭痛』といっても、いったいどれくらいの種類があるのでしょうか?

一般の方が思い浮かぶ頭痛といえば、第一に片頭痛、そのほかにはストレスからくる頭痛、肩こりからくる頭痛、頭を打ったときの頭痛、風邪を引いたときの頭痛、このくらいの種類かと思われます。

2005年に国際頭痛分類が改訂されました。その中に分類されている頭痛は実に200種類以上あります。
大きく分けて
1. 一次性頭痛
2. 二次性頭痛
3. 頭部神経痛、中枢性・一次性顔面痛、およびその他の頭痛
に分類されています。

1、2、3はそれぞれさらに細かく分類されています。一次性頭痛はいわゆる慢性頭痛のことで代表的なものは片頭痛、緊張型頭痛です。二次性頭痛とは脳卒中や脳腫瘍など頭の病気に伴う頭痛のことで何らかの頭痛の原因があるものを指します。3の頭痛は神経痛のことで、代表的なものは帯状疱疹による神経痛があります。

このようにたくさんの種類の頭痛があるにもかかわらず、今まで治療の対象となっていたのは、いわゆる二次性頭痛といわれる、脳の中に何か病気のある頭痛のみでした。頭が痛くて病院を受診したけど、頭のCTスキャンなどを検査して、たいていは『頭の中にはとくに病気はありませんよ。ストレスからくる頭痛でしょう。』あるいは『風邪でも引いたのでしょう。』などと説明され、鎮痛剤を処方されたり、風邪薬を処方されるだけの状態でした。医療側も患者側も頭痛に対しての認識がなく、‘頭痛くらいで・・・・・’といったぐあいでした。

頭痛医療の変化

しかし、2001年にトリプタン製剤と呼ばれる片頭痛の特効薬が登場し、頭痛医療はがらりと変わりました。数日寝込んでしまうような片頭痛持ちの人が頭痛から開放され、仕事や家事ができるようになったのです。

2005年に日本頭痛学会による頭痛専門医制度も始まり、頭痛医療は少しずつ変化しています。15才以上の日本人の約4割が、苦痛の程度はさまざまでありますが慢性頭痛に悩んでいると報告されています。片頭痛(推定840万人)は日常生活に支障の出る頭痛であり、トリプタン製剤の登場により光明が見え始めていますが、中には難治性のものもあり、一筋縄ではうまくいかないこともあります。また、緊張型頭痛(推定2000万人)は日常生活への影響は片頭痛に比べると低いが、慢性的に長期間だらだらと続くもので、残念ながら、現在でも特効薬はなく、症状に合わせた鎮痛剤などの投与あるいは生活指導しかありません。

頭痛は立派な病気

昔から、頭痛で学校を休んだり、欠勤したりすると、仮病や怠業と誤解されてきました。そのために本人だけでなく、家族までもが思い悩み、社会から冷たい目で見られることもありました。
しかし、説明してきたように慢性頭痛は立派な病気であります。頭痛ぐらいでと言っていたのは過去の話。専門的な知識をもった医療機関で正しい診察を受けて、頭痛の少ない快適な日常生活を送りましょう。

危険な頭痛

危険な頭痛

危険な頭痛って何?

命に危険をおよぼす二次性頭痛

頭痛には一次性頭痛と呼ばれる生命に危険をおよぼさないような頭痛と二次性頭痛と呼ばれるときに生命に危険をおよぼすような頭痛があります。一次性頭痛の代表的なものは片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛、労作性頭痛などです。二次性頭痛の代表的なものはくも膜下出血、脳腫瘍、髄膜炎、脳梗塞、脳出血、頭部外傷、低髄圧症候群、薬物中毒などがありますが、その中で早急に治療を開始しないと生命に危険がおよぶものは、(1)くも膜下出血、(2)脳卒中(脳出血、脳梗塞)、(3)髄膜炎です。

くも膜下出血について

片頭痛

片頭痛

片頭痛ってどんな病気?

片方だけが痛くなるのが片頭痛?

一般外来に頭痛で来られる方の中には、‘昔から片頭痛持ちなんです’と言われる方がいますが、片頭痛のことを理解している方はほんのわずかです。

頭痛持ち=片頭痛あるいは片方が痛くなるのを片頭痛と思っている方が多いです。‘片’という字がつくので、そう思われても仕方がないことなのですが・・・・・。ちなみに‘へんずつう’は偏頭痛ではなく片頭痛と書くのが語源的に正しく、日本頭痛学会では片頭痛で統一しています。

片頭痛は両方に痛みを感じるつらい頭痛

では、【片頭痛】とはいったいどんな病気なのでしょうか。
血管性頭痛の代表が片頭痛です。血管性というのは血管の収縮(縮む)拡張(拡がる)によって、血管周囲の神経が刺激されて痛みを感じると言うことです。つまり、脳の中の血管の収縮・拡張によって頭痛が起こるのです。ですから、決して片方に起こるわけでなく、片頭痛の方の40%程度は両方に痛みを感じます。痛みは拍動性(ズキンズキン、ガンガン)のことが多く、定期的に起こり、主にこめかみから目の奥が痛みます。光や音がわずらわしく、頭を動かすとガンガン響くので、暗い静かな部屋でじっと横になっているしかない状態になります。多くは吐き気を伴い、嘔吐することも多いです。2割程度の人は、頭痛が起こる20分ほど前から、前兆として目の前に白く光るギザギザが現れ、視野が狭くなったりする見え方の異常を感じます。頭痛は数時間から一晩でよくなる人もいれば、中には3日間頭痛が継続する人もいます。このようなつらい頭痛を【片頭痛】と言い、日本には推定840万人ほどいると言われていますが、そのほとんどが病院で治療を受けていないのが実情です。

片頭痛の特効薬

平成13年より、片頭痛の特効薬が承認され、片頭痛の治療は大きく変化しました。今までは市販の鎮痛薬を飲んでじっと我慢しているだけであったものが、特効薬で劇的に頭痛が改善することが多くなりました。その特効薬は‘トリプタン製剤’と言われるもので、国内に現在(平成21年3月)5種類あります。ほとんどの方はこのトリプタン製剤の頓服で頭痛の少ない快適な生活が送れますが、中には慢性的に頭痛の回数が多く、程度も強い人がいます。そのような方にはあらかじめ頭痛の回数と程度を減らすために予防薬と呼ばれる薬を定期的に服薬していただくこともあります。

このように片頭痛の治療も大きく変化し、頭が痛くて仕事ができない、学校に行けないなどの日常生活への支障も軽減されてきています。頭痛でお困りの方は一度かかりつけ医あるいは頭痛専門外来受診をお勧めします。

トリプタン製剤はいつ飲めばいい?

外来に来られる患者さんの中に次のように言われる方がよくいます。
『頭が痛くて病院に行きました。いろいろ検査をしたけれど、異常がないと言われました。片頭痛でしょうとのことで、特効薬といわれるトリプタン製剤を処方してもらいました。何回か飲んでみましたが、あまり効かないので、いつも飲んでいる市販の薬に結局戻してしまいました。』

このような方の中には、服用の仕方が悪いために効果が出ないと言う方が結構おられます。
では、トリプタン製剤はどのタイミングで飲めばよいのでしょうか。ちょっと詳しくご説明します。

そもそもトリプタン製剤というものは2つの作用を持っています。

  1. 拡張した脳の血管やむくみを抑える
  2. 脳の血管の周囲に存在する三叉神経からの炎症物質の放出を抑える。

すなわち、トリプタン製剤はただ単に痛みを取り除くだけでなく、片頭痛そのものを改善する役目を持っているのです。平たく言えば、蛇口の栓を元に戻すことにより水の量をコントロールし、頭痛が起こらないようにするわけです。従って、脳の血管周囲に炎症物質があふれているような頭痛のピークに服用しても効果はあまりでないことが多いです。

ということで、トリプタン製剤は痛み出しの頭痛の程度が軽いときに服薬するのが正解です。しかし、片頭痛の痛みは毎回違うし、よく分からないという方もいらっしゃると思います。一つの目安として‘頭を振って痛みが強くなる’‘下を向いたら痛みが強くなる’が服薬のタイミングと考えられます。

トリプタン製剤は初めての服用で必ず効果が出るというものではありません。同じように服用しても2回目、3回目で効果が出ることもあります。また、同じトリプタン製剤の仲間でもイミグランは効果がなく、レルパックスは効果があるという方もいらっしゃいます。何回か飲んでみて、飲んだタイミング、頭痛の程度などを記録し分析することも大切です。残念ながら、どのトリプタン製剤も効果がないという片頭痛の方もごく少数ですがいらっしゃいます。

適切な服薬により頭痛の少ない快適な日常生活を送りましょう。
なかなか頭痛のよくならない方は一度ご相談ください。

薬以上に効く?生活の中のちょっとした工夫

片頭痛は非常につらい痛みで、その痛みはなった人にしか分かりません。いつ起こるかも予測できないし、仕事中や授業中に起こったら、薬もすぐには飲めないこともあります。できれば、薬以外の方法で頭痛の回数が減ったり、痛みが和らいだりできたらいいですね。そのような方法はいくつかありますので、ここでご紹介致しましょう。

まずは痛みが出現したときの対処方法です。

  1. ズキズキ痛む場所を冷やす
    目の周囲やこめかみ、後頭部などをよく冷やしたタオルや熱さまシートなどで冷やすと頭痛が楽になることがあります。
  2. 少量のカフェインを摂取する
    カフェインは血管収縮作用がありますので、頭痛出現時に少量のコーヒーや緑茶などカフェインを含む飲み物を飲むと頭痛が楽になることがあります。あくまでも少量で飲み過ぎると逆に頭痛が強くなることがあるので、注意は必要です。
  3. 甘いものを摂取する
    片頭痛は低血糖で引き起こされる事があり、飴など甘いものを摂取すると頭痛が楽になることがあります。
  4. 寝る
    薄暗くした静かな部屋で休む。可能ならば寝る。なかなか現実的には難しいですが、休日などには有効なこともあります。

次に頭痛を起こしにくくする方法です。片頭痛は視床下部という体内の環境を一定に保つ脳の中の一部分にストレスが加わり、そのストレスを緩和させるためにセロトニンと言われる物質が使われすぎてしまうことで、血管が拡張し、その周囲の神経が刺激されて頭痛が起こると言われています。従って、ストレスがかからないようにすることが賢明であると言えます。

  1. 規則正しい生活
    寝過ぎも、寝不足もよくありません。休日に朝寝坊をすると、起きたときから頭痛がすることがありますので、寝だめをするならば、一度起きて朝食を摂ってから短時間寝ましょう。
  2. 朝食を必ず摂る
    低血糖は片頭痛を誘発しますで、朝食は必ず摂りましょう。
  3. 外的ストレスを避ける
    人混みは避ける。寒暖の差をなくす(冷房の効いた部屋から暑い外へ出ると頭が痛くなることがあります)。パソコンなど目を使った後は冷やしたタオルで目を冷やす。外出するときはサングラスをかける。お風呂などで体を温めすぎない。
  4. 食生活の改善
    食べ物が誘因となることがあります。有名なものは赤ワイン、チーズ、チョコレート、焼き豚などです。そのような食べ物は避けましょう。食事の中でマグネシウムを多く摂ると片頭痛の予防効果があると言われています。マグネシウムを多く含む食物はひじきや海藻類、黒豆、ココアなどです。

日常生活の中でのちょっとした工夫で頭痛の回数が減ったり、薬を飲まなくても頭痛がよくなったりすることもありますので、一度試されてはいかがでしょうか。何かこれをしたら(それがトリプタン製剤などの薬でもよいのですが)頭痛はよくなるというものがあれば、それだけで安心できるし、また、その安心が片頭痛の回数を減らすことにもなるのでないかと考えています。

女性と頭痛

女性と頭痛

なぜ、女性に頭痛は多いのだろう?

頭痛持ちと言えば、たいてい女性の方です。では、なぜ女性に頭痛持ちが多いのでしょうか。

頭痛には大きく分けて1:片頭痛、2:緊張型頭痛がありますが、日常生活に支障のあるのは片頭痛ですので、今回は片頭痛に焦点を絞ってお話しします。

片頭痛と女性ホルモンの関係

15才以上の日本人の片頭痛有病率は約8.4%で、840万人と言われます。その中で女性の割合は男性の3.6倍です。片頭痛の方の4人のうち3人が女性と言うことになります。年齢的には仕事、結婚、出産、育児など社会的にも肉体的にも変化の多い20-40代が最も多いです。生理が始まるまでは片頭痛の有病率は男女差はありませんが、初潮を迎える頃になると女性の片頭痛持ちが増えるのです。では、女性になぜ片頭痛が多いのでしょうか。それには、女性ホルモン(エストロゲン)が大きく関与しています。

昔から女性の中には‘私、生理痛がひどくて、頭痛もするからいつも痛み止め飲んでいます。あまり効きませんけど’と言われる方がおられますが、このような方はほとんどが、『月経時片頭痛』と診断できます。このように生理が始まる、つまり、エストロゲンという女性ホルモンが減少することによって片頭痛が引き起こされると言われています。生理の2日前から生理3日目までに頭痛が発症することが多く、中には排卵期に頭痛のする方もおられます。

このような『月経時片頭痛』は一般の片頭痛と異なり、頭痛の程度が強く、吐き気・嘔吐を伴うことが多く、薬が効きにくいという特徴があります。また、名前のごとく、月経時に起こりますから、月経がなくなれば、頭痛が消失するか軽快することが多いです。つまり、妊娠により半数以上の方が頭痛の軽減・消失を自覚しており、また、閉経に伴い頭痛の軽減・消失を認めます。

では、このようなやっかいな片頭痛に対してどのように対処すればいいのでしょうか。

片頭痛の特効薬であるトリプタン製剤の頓服で効果が十分な方はそれだけでよいと思われます。しかし、大抵の方はそれでは不十分で、生理前から生理中のみの短期間の予防薬の投与、何種類かの鎮痛剤の併用などをして頭痛の軽減を図ります。しかし、そのような多剤の併用に関しては自己流では副作用の危険もありますので、頭痛の専門医と相談して、病院で治療を行ってください。

妊娠中、授乳中の治療について

また、妊娠中の片頭痛は子供さんへの影響もあり、薬物治療には十分な注意が必要です。大抵の鎮痛剤(市販品、消炎鎮痛剤、トリプタン製剤、エルゴタミン製剤など)は妊婦には禁忌あるいは慎重投与となっています。しかし、妊娠していることを知らずにそのような鎮痛剤を飲んでしまってもまず問題はありません。妊娠が分かった時点で中止すればまず心配ありませんので、必要以上に気にすることはないと思います。妊娠中に投与が可能である鎮痛剤はアセトアミノフェンなどごく限られたものですので、産婦人科医、頭痛専門医のご相談ください。トリプタン製剤は調査中であり、安全性は確立されていませんが、とくに妊娠、出産、胎児への影響などないと言われています。

また、授乳中も同様に母乳への移行の問題があり、やはり注意は必要です。トリプタン製剤に関しては12時間授乳をさければよいようです。搾乳するのが一番安全ではありますが。

このように、片頭痛は女性に多い病気で、仕事、育児、家事など休めないことも多く、日常生活に支障の多いものです。とくに生理に関係した片頭痛は頭痛の程度も強く、薬も効きにくいということで非常にやっかいです。しかし、専門の医師による診断と正しい薬物療法により頭痛の程度は改善します。女性で頭痛にお困りの方は一度脳神経センターにご相談ください。頭痛の少ない快適な日常生活を送りましょう。

緊張型頭痛

緊張型頭痛

肩こりから頭痛はくる?

肩こりは頭痛の原因になるのか?

頭痛を訴えて外来受診をされる方とお話をしているとよく「肩こりからくる頭痛かしら」ということを耳にします。はたして肩こりは頭痛の原因になるのでしょうか。

答えは‘どちらとも言えない’ということになります。《肩こり》という言葉はどうも日本語に特有の言葉のようです。英語では《shoulder stiff》あるいは《neck stiff》と言うようで、あまり一般的ではないようです。肩は凝るけれど頭痛はしないという人もいれば、肩こりはないけどいつも頭痛がするとういう人もいます。また、片頭痛の方で頭痛発作の前はひどく肩が凝るので頭痛が来るのがわかるんですという方もいます。肩こりは頭痛の一つの原因にはなりうりますが、【肩こり=頭痛持ち】ではありません。

では‘肩こりからくる頭痛’あるいは‘疲れからくる頭痛’と思っておられる方の頭痛はいったいどんな頭痛に当てはまるのでしょうか。それは[緊張型頭痛]になります。

緊張型頭痛の分類

頭痛の国際分類ではこの緊張型頭痛は大きく4つに分類されています。
その分類を噛み砕いて説明しますと、
1:筋肉の緊張からくる頭痛
2:精神的緊張からくる頭痛
になります。

  1. 筋肉の緊張からくる頭痛とは、後頭部から後頚部(首の後ろから肩にかけて)の筋肉の緊張により乳酸、ピルビン酸などの疼痛物質が出現することが原因です。つまり、長時間のうつむき姿勢で疼痛物質が出て、後頭部の神経が刺激され痛みを感じるのです。その痛みは側頭部や目の奥まで広がることがあります。痛みの特徴はたいていは重く鈍い痛みで後頭部の筋肉が後頭骨(後頭部の出っ張りの部分)に付着するところを押さえると痛みがあります。しかし、その痛みは‘痛いけど、押さえた後は気持ちいい’と言われることが多いです。
  2. 精神的緊張からくる頭痛は、つまり‘心の病気’になります。仕事や家庭のこと、あるいは近所付き合いなどで急に忙しくなったり、ストレスがたまったりすることで頭痛を起こします。その場合は前額部を中心とした痛みになったり、頭全体が痛くなったりします。痛みの程度はさまざまでときには吐き気を伴うこともあります。頭痛以外にも気分がすぐれない、夜眠れない、めまいがある、手がしびれる、耳鳴りがするなどさまざまな症状があることが多いです。

まとめると、[緊張型頭痛]の緊張とは、1:肉体的な緊張と、2:精神的な緊張があるのです。
このような頭痛に対しては残念ながら特効薬はありません。肉体的な緊張に対しては筋肉をリラックスさせるような体操やストレッチを継続し、日頃の姿勢をただすことが重要です。また、精神的な緊張はストレスを発散するようなことが重要です。しかし、頭痛の程度が強い場合は鎮痛剤や筋肉弛緩剤、あるいは精神安定剤を内服していただきます。場合によっては‘心の病気’であれば、精神科の受診をお勧めすることもあります。

ストレスの多い現代社会でありますが、ご自分の頭痛について理解を深め、少しでも頭痛の少ない日々を快適な生活を送りましょう。

子供の頭痛

子供の頭痛

子供も頭が痛くなるの?

増えている子供の頭痛

‘子供が頭痛くなるなんて’と思われる方は多いのではないでしょうか。しかし、最近、「頭痛」で外来を受診される子供は多いのが現状です。早い子ですと、幼稚園に通う頃から頭痛持ちの子もいます。昔から子供が‘頭痛い’と言うときは決まって、体育の授業前や、マラソン、水泳など不得意な出来事の前の事が多く、‘休みたいからでしょ’と仮病扱いをされる事が多かったと思われます。確かに、仮病を使っている子もいましたが、本当につらい子がいたことも事実です。

子供が頭痛を訴えることは大人よりは少ないので重要な訴えとみるべきです。頭痛の原因としてまず考えなければならないのは二次性頭痛、つまり、脳の病気からくる頭痛です。脳腫瘍やもやもや病などは小児にも多い病気ですので、CT、MRIで確認が必要です。では、二次性頭痛以外の頭痛もあるのでしょうか。答えは‘あります’。

一番多いのは【片頭痛】です。片頭痛というと大人の病気というイメージがありますが、ストレスの多い社会のせいでしょうか最近は子供も片頭痛が多いようです。字のごとく、大人の場合は頭の片側が痛くなることが多いのですが、子供の場合は痛み方が大人とかなり異なるので相違点をご説明します。

子供の片頭痛の特徴

  1. いきなり始まり、痛みの持続時間が比較的短い
    さっきまで元気だった子が急に頭が痛いと言ったり、頭が痛いと言っていたと思ったら急に元気になったりする。
  2. 腹部症状が強い
    頭痛がなくて、腹痛・下痢だけの症状のこともある。周期性嘔吐症や腹部片頭痛も頭痛国際分類に記されている。
  3. めまいを伴うことが多い
  4. ガンガンではなく、締め付けられるような痛みが多い
  5. 平日に多い

一見すると、これって頭痛なの?という感じの症状が子供には多いのです。それ故、診断が難しいのです。

片頭痛の子供の共通点

  1. 低血圧気味
    よく立ちくらみを起こす。
  2. 乗り物に酔いやすい
  3. アレルギー体質
  4. 兄弟(姉妹)に熱性痙攣の子がいる。片頭痛の家族がいる
  5. 頭痛は体育の時間、午前の最後の授業中、帰宅途中・帰宅後に多い

このように子供の頭痛は大人と違い、一見すると仮病のようにみられがちです。頭痛のために体育ができなかったりすることによっていじめの原因にもなりかねません。本人も気にするようになり、徐々に閉鎖的になりうつ病などになったり、不登校になったりもします。子供は病気だと自ら認識することはできませんので、やはり、両親が気づいてあげるしかありません。子供の様子に敏感になるために、毎日よく話をする、家族団らんの時間を設けるなどの工夫も必要かと思われます。

上記のような症状がお子さんにありましたら、一度、脳神経センターにご相談ください。子供の片頭痛は立派な病気です。家族みんなで支えて、楽しい学校生活にしましょう。当脳神経センターも全面的にバックアップ致します。

後頭神経痛

後頭神経痛

けっこう痛い神経痛

がまんできないほど痛む後頭神経痛

外来で診察していると後頭部を押さえながら、『昨日から後頭部が急にチクチク、ビリビリと痛くなってきて、我慢できないくらいなんです。私、くも膜下出血ではないでしょうか』と言われる方が多数おられます。診察中も『痛!痛!』と何度も顔をしかめています。

このような方はたいてい【後頭神経痛】と呼ばれる神経の痛みなのです。後頭神経痛には①大後頭神経痛、②小後頭神経痛、③大耳介神経痛の三種類があります。それぞれは痛みの質、程度は同じですが、図のように痛む場所が違うのです。

後頭神経痛の痛みの特徴

  • ・ビリッとする一瞬の電撃的な痛みで繰り返す。
    間隔は数秒から数時間で一度痛み出すと数日から数週間継続する。
  • ・痛みの間欠期(痛みがないとき)は同部位にじわっとした違和感、しびれ感があることがある。
  • ・痛み以外には吐き気などの症状はない。

このような痛みは肩こりや首のこりが強いときに起こりやすい傾向にあります。解剖学的にこれらの神経は頭を支える頸部の筋肉の間から皮膚の表面に出てくるため、筋肉による圧迫を受けやすいためと考えられています。これらの神経痛は治療をしなくてもたいていは1週間ほどで自然に消失します。危険な頭痛ではないので心配はいりません。
痛みが強い場合はビタミン剤の内服や注射が効果的です。この治療により痛みが徐々に改善し、通常の鎮痛剤を使わなくてもよいことが多いです。

後頭神経痛は日本人に比較的多く、痛みも強いために日常生活に支障が出ることもあります。痛みが強い場合は、一度、かかりつけ医あるいは頭痛専門外来にご相談ください。

薬剤使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛

薬剤使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)

薬の飲み過ぎで頭痛が悪化するの?

薬剤使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)とは

最近、頭痛診療の中で話題になっているのが薬剤使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)です。薬物乱用という字をみると、覚醒剤などの危ないお薬の乱用で、一般の人には関係ないかのように思えます。しかし、実際には世の中に多数の方でいて、市販の鎮痛剤を服用しているような頭痛持ちのだれもがなりうる病態の一つです。このような頭痛に陥らないように、少し詳しくご説明します。

薬剤使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)とは鎮痛薬(市販薬、病院から処方されるものなど何でも)の飲み過ぎによって痛みがさらにひどくなってしまう頭痛のことです。国際頭痛分類での診断基準は
1. 頭痛は15日以上/月
2. 鎮痛剤を3ヶ月以上定期的に服用している。
3. 鎮痛剤の服用により頭痛が悪化している。
となります。簡単に言うと2、3日に1回で3ヶ月以上鎮痛剤を飲んでいて頭痛が悪化した場合となります。ですから、鎮痛剤をたくさん服用していても頭痛が悪くなっていなければ、該当しません。

薬剤使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)になりやすいタイプの人

では、どんな人、どんな頭痛のタイプの人がなりやすいのでしょうか。それは、圧倒的に片頭痛の方が多いです。片頭痛はここ数年前よりやっと認知されるようになり、治療も適切に行われるようになりつつあります。しかし、頭痛持ちの方の大多数は10代から40代で仕事や学校のため、平日に医療機関を受診できないことが多いです。また、ドラックストアーの乱立により市販薬が手軽に購入できる環境もあいまって、市販の鎮痛剤で対処している患者さんが多くいます。

このような場合は当然、頭痛は良くならないし、仕事中であれば、迷惑かけないようにと早めに鎮痛剤を飲むようになり、知らず知らずのうちに鎮痛剤の服用回数が増えてしまうのです。鎮痛剤の乱用により、頭の痛みを感じる閾値(限界)が低下し、痛みに対してさらに敏感になるために、頭痛がひどくなり、ひどくなるのが怖いから早めに鎮痛剤を服用するようになり、薬剤使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)へと移行していきます。

鎮痛剤の乱用により、高血圧になりやすい、胃炎・胃潰瘍になりやすく、ピロリ菌にも感染しやすい、女性ならば流産しやすい、などさまざまな病気にもなりやすく、合わせて注意が必要です。

薬剤使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)の治療はスムーズに進まない

一旦、薬剤使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)になってしまうと治療に難渋します。その原因の一つに精神的に鎮痛剤に頼ってしまっているため、やめるのが怖いという心理的背景があります。また、もとの頭痛に戻してから頭痛の治療を始めなければならなく、治療開始後の2,3週間は一旦頭痛が悪化します。その後に頭痛が少しずつよくなりますので、根気強く続けることが大切です。

このように、薬剤使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)は非常に怖い病態ですので、ならないように適切な治療を受けることが重要です。今お使いの鎮痛剤がだんだん効かなくなってきたら、頭痛の専門医を受診しましょう。沈痛剤は使い方を誤ると非常に危ない薬です。

薬剤使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)にならないよう、適切な診断・治療を受けて、頭痛の少ない快適な日常生活を送りましょう。

群発頭痛

群発頭痛

世の中で最強の頭痛

群発頭痛は、群発地震のように、ある期間に集中して頭痛が起こることからつけられました。一次性頭痛の中で最強の痛みで、成人男性が我慢しきれずに、のた打ち回るほどの頭痛です。20~40歳代の男性の多く、女性の4〜5倍にのぼるとも言われています。季節の変わり目に始まることが多く、一度痛みが現れると、毎日のように頭痛を起こすようになり、たいていは1〜2ヶ月続きます。

頭痛は必ず片方であり、眼の奥がえぐられるような痛みと表現する方が多いです。あまりの痛みにじっとしていることができず、痛みを紛らわすために動きまわらずにはいられないこともあります。痛い側の目が充血したり、鼻が詰まったり、鼻水が出るなど自律神経症状を伴うことも特徴です。痛みは1日に数回で15分から3時間程度続きます。とくに就寝中に多く、不眠の原因となることも多いです。このような耐え難い頭痛ではありますが、群発期以外は全く頭痛がなく、半年から2〜3年間の周期で群発期がやってきます。

群発頭痛の主な症状

頻度
●1〜2ヶ月間に集中してほぼ毎日起こる
痛む場所
●必ず頭の片方が痛む
●片方だけの眼の奥や周囲、あごが頭の片側へ拡がる
痛み方
●眼の奥がえぐられるような激痛
●痛くてじっとしていられない。動き回らずにはいられない。
経過
●1日に1〜2回起こり、1回の痛みは15分から3時間続く
●毎日ほとんど同じ時刻に起こる。就寝中が多い。
痛み以外の症状
●痛い側の目の充血や涙、鼻汁などを伴う

群発頭痛はアルコールや喫煙、気圧の変化で誘発されます。アルコール摂取後1時間以内に頭痛が現れることが多いので、群発期は禁酒が必要です。

治療は薬物による治療が中心です。トリプタン製剤の内服、点鼻、自己注射などで頭痛発作の治療を行います。また、群発期間の短縮や頭痛の軽減のために、カルシウム拮抗薬など予防的に投与することもあります。

日常生活の中で頭痛を誘発する要因を出来る限り取り除くことをお勧めします。飲酒や喫煙などが誘発すると言われていますので、群発期は禁酒し、喫煙も控える必要がありますが、群発期以外での飲酒は問題ありません。

群発頭痛は一次性頭痛の中で最強の頭痛ですが、薬物療法により頭痛は緩和できるようになってきています。適切な治療を受けて、頭痛の少ない生活を送りましょう。

頭痛日記(頭痛をもっと知ろう)

頭痛の日記をつけましょう!

頭痛の診断は問診がすべてです。いつから始まったのか。どんな風に始まったのか。どんな頭痛がどれくらい続いたか。頭痛以外に何か症状はなかったか。などが診断の手がかりです。

頭痛持ちの方は痛みがひどいときに病院を受診することはほとんどありません。痛みが少し和らいで動けるようになると来院されます。そのときに、頭痛のピークのときの事を聞いても、よく覚えていないことが多いようです。まして、数ヶ月前に我慢できないような頭痛があったけれども、仕事が忙しくて病院を受診できず、夏休みがとれたから、脳の病気が心配で来院された場合は、頭痛のあったときのことなど覚えていないことがふつうです。

CTやMRIなど撮れば脳の異常がないことは分かりますが、診断することはできません。ですので、頭痛が起こって、少し和らいだときに頭痛に関する日記をつけることが大切なのです。

日記をつけることにより病院を受診したときに医師に伝えやすいだけでなく、自分の頭痛に関しての分析もできます。分析することによって日々の生活の中で注意すべき点、あるいは、避けることにより頭痛が起こりにくくなることなどが分かってきます。自分の頭痛に関してもっと知ることが頭痛の治療への近道です。
片頭痛は投薬などで十分に対応できる病気ですし、緊張型頭痛も生活指導や投薬によりある程度痛みを和らげることができる病気です。‘頭痛は我慢するもの’というのは古い考えです。頭痛は立派な病気です。

頭痛日誌を活用して、頭痛の少ない快適な日常生活を送りましょう。日誌は外来受付にありますのでお尋ねください。

頭痛をもっと知ろう!!!

自分の頭痛を知らなければ治療は始まりません

頭痛の治療はまず、患者さんが自分の頭痛をよく知ることから始まります。いつから、どんな頭痛(痛み)が、どこに感じて、どれくらい続いて、頭痛以外に何か症状はなかったかは最低知っておくべきです。頭痛には放っておいても命に別状のないものと一刻を争って治療をしなければならないものがあります。後者の代表的なものは①くも膜下出血、②脳出血、③脳梗塞、④髄膜炎、⑤脳腫瘍などです。前者は慢性頭痛(一次性頭痛)であり、代表的なものは①片頭痛、②緊張型頭痛、③群発頭痛などです。

早急な治療が必要な頭痛はたいていは今までに経験したことがないような頭痛で、頭痛以外に手足の麻痺、発熱、嘔吐などを伴うことが多いです。慢性頭痛の場合の治療は薬、生活指導、運動療法などで診断の決め手は問診です。従って、患者さんからの情報が非常に重要になってきます。そのためには前述したようにいつ頃からどんな頭痛がどこに起こって、どんな風に経過していったかなど、頭痛の日記が必要になってくるわけです。

頭痛の日記をつけることで、自分の頭痛がよく分かり、日常生活で頭痛を避ける工夫も自分なりに見つけ出せるようになります。また、医療機関を受診したときに、事細かにしつこいほどの問診(事情聴取みたいなものでしょうか)も必要なく、頭痛日記をみれば、私たち医師は診断がつきやすくなります。実際、片頭痛の方の半数は頭痛持ちとの自覚がありません。

頭痛はときに日常生活にも支障をきたしますが、日本の風潮では頭痛は病気ではないという感じで、『頭痛ぐらいで仕事を休むなんて、甘えてんじゃないの。』といった具合です。もっと自分の頭痛を分析して、頭痛の少ない快適な日常生活を送りましょう。

頭痛薬について

頭痛薬はいっぱいある!!

頭痛にはくも膜下出血や脳腫瘍のような生命の危険を伴う二次性頭痛(症候性頭痛)もありますが,大抵は生命の危険を伴わない一次性頭痛です.中でも代表的なものは片頭痛,緊張型頭痛です.そのような頭痛に対して市販の鎮痛剤,病院で処方される頭痛剤など痛み止めと呼ばれるものはたくさんの種類があります.

鎮痛剤と言えども副作用はありますので,飲み方を誤れば命にかかわることもあります.また,鎮痛剤により痛みが和らいだために,脳腫瘍,脳出血や髄膜炎などの器質的異常の発見が遅れることもありますし,鎮痛剤の連日の服用により薬物乱用頭痛(慢性連日性頭痛)に移行する場合もあります.

一度は専門の医療機関を受診し,正確な頭痛の診断と正しい服薬指導を受けることをお勧めします.頭痛薬について以下のことに注意して下さい.

  1. 市販の鎮痛剤を服用される場合
    薬局には多種多彩の鎮痛剤がありますが,配合成分の割合がさまざまです.なるべく,配合成分の少ないものからはじめましょう.週に1,2回が目安です.それ以上飲む回数が増える,あるいは,強いお薬に変わっていく,何種類も飲むようになるようでしたら,薬物乱用の可能性があり,逆に頭痛が悪化する恐れがありますので,一度,専門の医療機関を受診して下さい.
  2. 医療機関の薬を服用される場合
    痛いときに飲む頓服薬と痛みの頻度,程度を軽減させるための予防薬があります.
    • 緊張型頭痛と診断されている場合
      痛いときの鎮痛剤と筋肉の緊張を緩和させる筋弛緩剤,あるいは,精神的な緊張を緩和させる精神安定剤などの予防薬が処方されます.これらの予防薬はずっと服用するものではありませんが,無理に中断する必要はありません.症状が軽快するようでれば減量して下さい.2,3ヶ月を越えて服用し続ける場合は再度医療機関を受診して下さい.
    • 片頭痛と診断されている場合
      痛いときの鎮痛剤と頭痛の頻度,程度を緩和させるための予防薬が投与されます.発作の頻度が少ない場合は頓服の鎮痛剤のみのことが多いです.最近は片頭痛の特効薬としてトリプタン製剤が処方されることが多いです.比較的安全なお薬ですが,血管を収縮される作用がありますので,心筋梗塞や脳梗塞の既往のある方は使用できませんので,主治医の先生とよく相談して下さい.国内では4種類のトリプタン製剤が発売されております.それぞれ患者さんとの相性もありますので,効果が薄い場合は別の製剤への変更も可能です.また,製剤もライフスタイルや痛みの度合いに応じて水がなくても飲めるような口腔内崩壊錠や点鼻薬,注射剤などあります.
      ただし,服用に関しては他の鎮痛剤との併用禁止や,追加の場合の注意事項がありますので,説明文書を正確にご理解下さい.予防薬としては血管を拡張させるものや痛みをコントロールするために抗うつ剤が処方されることもありますし,抗てんかん剤が効果的なこともあります.主治医の先生によく説明してもらい服用して下さい.効果が出現するのには時間がかかります.少なくとも3か月は服用を続けましょう.

以上,代表的な頭痛薬について説明いたしました.頭痛薬にはたくさんの種類があり,それぞれ長所と短所があります.薬に頼らず,生活改善をすることも大切です.しかし,日常生活(仕事・家事など)に差し支えるようならば服薬が必要ですので,上記のことに留意して正しい服用に心がけ,主治医の先生とコミュニケーションをとりながら,頭痛の少ない快適な生活を送りましょう.

頭痛薬を内服される方へ

頭痛薬の飲み過ぎは危ない!!!

一言に頭痛薬といっても多種多彩であり、いったい私はどの薬を飲んでいるのだろうと不安になることも多いと思います。頭痛薬には主に

①急性期、つまり、痛いときに飲む薬と
②慢性期、つまり、痛くないときに飲む薬

があります。痛いときに飲むのは分かるけど、痛くないときに飲む薬なんてあるの?どうして飲まなければならないの?と疑問に思われる方もいると思いますので、少し詳しくご説明したいと思います。

まず、急性期に飲む薬つまり鎮痛剤について説明します。鎮痛剤といってもものすごい数の薬があります。その中で今回は病院で処方される薬について説明します。(市販の薬は成分の配合が異なるので一般的には弱めです。)一般的に鎮痛剤といいますと、非ステロイド系消炎鎮痛剤のことを言います。商品名ではボルタレン、ロキソニン、アスピリン、ポンタール、アセトアミノフェンなどです。これらの薬は緊張型頭痛、軽度の片頭痛の方に広く使われておりますが、あくまでも徐痛であり、根本的な治療ではなく、短期間のみ飲む薬です。副作用として胃腸障害、造血器障害があり、長期間の服薬はお勧めでいません。

中等度以上の片頭痛の治療薬としてはトリプタン製剤、商品名ではイミグラン、マクサルト、レルパックス、ゾーミッグがあります。これらの薬は痛みが出始めたらすぐに内服することで効果が期待できます。痛みの頂点で飲んでもある程度は効きますが、効果は薄いです。副作用は動悸などありますが一過性であります。非常によい薬ですが、他の薬剤との飲み合わせの問題がありますので、担当医に必ず、現在服薬している薬を見せましょう。

これらの急性期の薬はあくまでも頓用の薬であり、長期に服薬し続けるものではありません。最近では、鎮痛剤、トリプタン製剤の乱用による頭痛が話題になっています。つまり、鎮痛剤を服薬することで頭痛が誘発されてしまうもので、薬を飲んでいるにもかかわらず、頭痛の程度が悪化するものです。このような頭痛は『薬物乱用頭痛』と呼ばれ、鎮痛剤を定期的に3ヶ月以上飲んでいる場合は注意が必要です。

このようなことにならないように頓用の鎮痛剤の飲む回数が多い場合はあらかじめ、頭痛の発作の回数、程度を改善するために、予防薬が必要になってきます。予防薬といってもたくさんの種類があり、血管拡張剤、筋緊張緩和剤、抗うつ剤、抗痙攣剤などがあります。それぞれ長所短所がありますので、担当医と相談しながら服薬します。このような薬は数ヶ月の服用が必要です。調子のいいときも続けることで意味がある薬ですので勝手に中断しないでください。

頭痛薬には以上のようにたくさんの種類があります。頓用での服薬が最終目標です。頭痛を減らすためには薬以外手段、つまり、日常生活の改善、運動療法などがもっと重要です。

担当医とよく相談し、頭痛の少ない、また、頭痛薬の少ない快適は日常生活を送りましょう。

頭痛体操

頭痛体操1.2.3.

背中・肩・首の筋肉をほぐしましょう

肩こりが強い緊張型頭痛の方には日頃の姿勢を正すことや、仕事の合間に目を冷やすなどちょっとした日常生活の改善が効果的でありますが、以下のような体操を継続することをお勧めします。悪いときにするのも効果的ですが、毎日継続することが良好な体調を維持することになります。『継続は力なり』です。

① 背中の曲げ伸ばし

ゆっくり深呼吸をしながら行いましょう

② 上半身のひねり左右にゆっくりひねりましょう

左右にゆっくりひねりましょう

③ 上半身の横曲げ

④ 肩の上げ下ろし

ぎゅっと持ち上げて、ストンと落としましょう

⑤ 肩の回転

左右ともゆっくり回しましょう

⑥ 肩の筋肉の伸ばし

息を吐きながら、ゆっくりと伸ばしましょう

⑦ 腕から脇の伸ばし

息を吐きながら、ゆっくり行いましょう

⑧ 肘てつ体操

肩甲骨がくっつくようにしましょう

⑨ 首の回転

ゆっくりと大きく回しましょう

⑩ 首の横曲げ

息を吐きながら、ゆっくり曲げましょう

以上の体操をそれぞれ数回ずつ、1日に2-3セット行いましょう。この体操以外に入浴後のストレッチ運動効果的です。

運動療法は即効性はありませんが、持続することにより徐々に効果が出てきます。がんばって続けて、頭痛の少ない快適な日常生活を送りましょう。

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