肝疾患に関する県内拠点病院としてチームで活動
肝臓は体内にある臓器の中で最も大きく、代謝や解毒、胆汁の生成、分泌など多様な働きをする重要な臓器です。その一方で「沈黙の臓器」とも呼ばれており、病気が見つかりにくく見つかったときには病状がかなり進行しているケースも少なくありません。そんな肝疾患の治療において、都道府県で中心的役割を果たすのが「肝疾患診療連携拠点病院」です。これは肝疾患診療の向上及び均てん化を図るため、平成19年に厚生労働省が定めたもので、原則として都道府県に1カ所以上、全国で70ヶ所が指定されています。
当院は平成20年に「肝疾患診療連携拠点病院」の指定を受けた県内唯一の病院。多職種が連携し、さまざまな角度から肝疾患に取り組んでいます。
「当院には肝臓学会専門医が内科で6名、外科1名勤務している他、放射線科、病理部に肝臓をエキスパートとする医師が在籍。肝疾患の患者数は北陸で最多となっており、確かな治療実績を持っています」と話すのは、福井県肝疾患拠点病院運営委員長を務める野ツ俣和夫医師。その言葉通り、肝疾患に関するスタッフが充実しているのが当院の強み。実績に基づき多彩な活動を展開しています。
肝疾患拠点病院の主な役割は、
となっています。これらを遂行するため、院内に福井県肝疾患連携拠点病院運営委員会を設置。委員会は医師12名、看護師6名、医療秘書1名、メディカルソーシャルワーカー1名、事務5名による多職種で組織され、肝疾患に関する各種業務について定期的に協議を行っています。
院内では委員会を中心に肝疾患支援室や肝ぞう教室などの活動を展開。それぞれチームで活動しています。これらは肝疾患にお悩みの患者さんに対する支援や情報発信を行うもので、多職種が参画。専門スタッフがそれぞれの分野で力を発揮することで、患者さんをサポートしています。
肝疾患診療連携拠点病院の活動の一環として、当院ではよろず相談室内に肝疾患相談支援室を開設。肝臓病に関するご相談を承っています。
「肝臓病は一度かかると経過が長く、一生つきあっていく病気でもあります。心配や不安を感じている患者さんに寄り添い、サポートしていくことが私たちの役割です」と話すのは、肝疾患相談支援室の専従看護師・吉田裕美子師長。
肝疾患に関する相談内容は、診断や治療に関することから、治療費や医療費助成制度に関すること、食事など日常生活に関する問題、退院後の生活についてまで多岐にわたります。肝疾患相談支援室では、これらのご相談を窓口でお聞きし、ご相談内容に応じて肝臓専門医や各専門スタッフがお応えしています。
また、患者さんからの相談や依頼を待つだけでなく、外来患者さんへの声かけや制度説明も積極的に実施。肝疾患診療連携拠点病院として、院内のみならず県内全域の肝臓病患者さんの悩みにお応えできる体制づくりを強化しています。
当院では肝疾患に関する正しい知識と情報を提供するため、「肝ぞう教室」も開催しています。
これは限られた診療時間では伝えきれない情報を発信する目的で実施。肝疾患の中でも患者数の多い慢性肝炎、肝硬変・肝臓がん、アルコール性肝炎・脂肪肝、そして肝臓病全般にわたる総論、といった4つのテーマを月替わりで行っています。
肝ぞう教室は2部構成となっており、前半は医師をはじめ、検査技師や薬剤師、管理栄養士、看護師らによる講義を実施。専門的な話をスライドなどを使ってわかりやすく紹介しています。
後半はグループワークとなっており、患者さん同士で情報交換を行ったり、日頃なかなかできない相談に専門スタッフがお応えしたりと、肝疾患に関する情報を通じたコミュニケーションの場にもなっています。
参加している患者さんは年齢層も幅広く、外来患者さんからそのご家族、入院患者さんまでさまざま。なかには毎回参加している方もおり、肝疾患に対する知識を気軽に学べる場としてご好評をいただいています。
このように多職種によるさまざまな活動が、肝疾患診療連携拠点病院としての役割を果たしています。
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