「患者さんの立場で考える」という理念を常に向上させ、
近代医療の大切な一端を担わせていただいています。
診療技術部長・
放射線技術部長
牧野 良孝
放射線技術部は、37名の診療放射線技師が在籍しており、その担当する診療業務の範囲は、X線撮影、骨密度、マンモグラフィ、乳腺エコー、X線TV、血管造影・IVR、CT、MRI、RI・RET、放射線治療、健診業務と多岐にわたります。技術の進歩が著しい医療機器に対応すべく各分野に専門技師を配置し、最善の検査・治療を提供できるよう、スタッフはスキル向上に日々邁進しております。
当院の特色として、乳腺診療に力の入った施設であり、多数の女性技師が在籍して活躍しています。子育て世代の技師も多く、ワークライフバランスの充実した職場環境づくりに努めております。
また、放射線科の宮山士朗先生率いるIVRチームの一員として、肝がんに対する最先端TACE (transcatheter arterial chemoembolization:肝動脈化学塞栓術)治療を最新のAngio装置、EmboGuide(自動供血血管同定ソフトウェア)を使用して行っております。 常に患者さんに寄り添い、安全かつ正確に医療機器を駆使し、信頼ある検査・治療を提供することで、地域医療・がん医療・急性期医療・予防医療などに貢献しています。
一般的にレントゲン撮影と呼ばれている検査がこれにあたります。けがや病気等で病院に来られた患者さんに、最初に行われる画像検査です。胸部や腹部・骨の写真を主に撮影しますが、放射線検査の中では被ばくも少なく短時間で終了するのが特徴です。
当院では診療用に3台のマルチスライスCT(64列)を設置しています。
マルチスライスCTは撮影スピードが速く、被ばくを最小限に抑えながら、胸部から下腹部までを十数秒で撮影できます。重い症状の方や息止めが困難な方への心身の負担を少なくして精度の高い検査が可能です。また、このデータを画像処理することにより、色々な方向からの断層画像や全身の血管や骨だけの3次元表示、心臓をとりまく血管(冠動脈)なども鮮明に描出できます。
また近年ではCT画像を用いた手術支援として、肝切除(ホロアイズ)や心臓カテーテルアブレーション(不整脈治療)などに応用されています。CT撮影にとどまらず主治医と連携して画像解析を行うことで日々の診療に役立てています。
令和2年3月に3.0テスラの最新MR装置を導入しました。この装置には、撮像中に映像を見ながら検査を受けられるシステムが備わっており、狭い空間内における不安が軽減され、患者さんに安心して検査を受けて頂くことが可能です。
さらに今回導入した装置では最先端の撮像技術も搭載され、従来よりも撮像時間が短縮できます。また同じ撮像時間でも、より高解像度の画像を取得できるようになりました。1.5テスラのMR装置1台と3.0テスラの高磁場MR装置2台を設置しており、連携医からの依頼や健診、緊急度や必要度などに応じた比較的柔軟な検査予約の運用を実践しています。
NPO法人日本乳がん検診精度管理中央機構による施設画像評価認定を取得し、認定女性技師8名が在籍しています。主に女性診療センターと健診センターでマンモグラフィや乳腺エコー検査、組織検査などを担当しています。
患者さんとお話しすることで信頼関係を築きながら、苦痛軽減を図った検査を提供できるようにしています。また乳腺外科医や看護師などとチーム医療に参加し、乳がんの早期発見、高度な医療が提供できるように努めています。
当院は3台のX線TV装置を設置しています。特に最新鋭の装置は被ばくが少なくても高画質であり、多種の画像処理、連続撮影も可能で、より質の高い画像情報を提供しています。代表的な検査としては、造影剤を使用して消化管造影検査(胃透視検査、大腸検査)、尿路造影検査、脊髄腔造影検査があります。また、骨折や脱臼した場合に骨を元通りにする時にも使用します。内視鏡を併用して検査治療を行う場合にも使用します。
院は3台の血管造影装置を設置し、放射線科、循環器科、脳外科が腫瘍の状態や血管の病気(狭窄や閉塞、動脈瘤など)を診断しています。また最近ではインターベンショナルラジオロジー(IVR)と呼ばれる血管内治療が多く行われています。2022年に導入された最新鋭の装置は、高画質とこれまで以上の低被ばくを両立しており、内因性の出血や外傷などの緊急止血術などを行っています。さらに肝細胞がんの治療ではコーンビームCTで撮影して腫瘍までの栄養血管を同定する最新のシステムを用いることで治療時間が短くなり、患者さんに優しい安全な治療を行っています。
放射性医薬品を用いた診断および治療を行っています。
診断に関しては、本館画像診断センターにSPECT-CT装置1台、東館PETセンターにPET-CT装置1台を設置し検査を実施しています。核医学検査で得意とする生理学的機能情報や代謝情報に、必要に応じて各装置に一体となっているX線CTを用いて解剖学的情報を付加することで、より診断に有用な情報を提供しています。またPET検査に関しては、サイクロトロンを設置し検査で用いる薬剤の院内製造を行っているため、投与量の最適化や急な検査に対応できる体制を整えております。
治療に関しては、治療病棟を有していない為、外来でも行える放射線内用療法のみを行っています。今後の適応拡大に対応できるように日々努めています。
放射線治療センターは、外部照射装置2台(サイバーナイフ、トモセラピー)と治療計画用CTを設置し、常勤専門医師2名、常勤看護師1名、常勤事務員1名とともに、診療放射線技師10名(医学物理士、放射線治療品質管理士、放射線治療専門放射線技師認定者を含む)が在籍しています。
肺がんや乳がんなどに対する一般的な放射線治療をはじめ、小さな転移性脳腫瘍などに対する定位放射線治療や、複数のビームを組み合わせることで腫瘍の形に応じて強弱をつけて放射線を照射する強度変調放射線治療(IMRT)を行っています。
近年、がん治療において、高齢者に優しく、治療後のQOL(Quality of Life:生活の質)に優れた放射線療法の重要性は増しており、その技術も飛躍的に進歩しています。安全かつ精度の高い放射線治療を提供できるように、患者さんへの照射業務から装置の精度管理に至るまで、スタッフ一同、日々技術の向上に努め、業務に邁進しております。
健診センターに胸部撮影装置、骨密度測定装置、マンモグラフィ装置、乳腺エコー装置、各1台と腹部超音波診断装置3台を設置し、午前中6名の診療放射線技師を配置して健診業務を担っています。
通常70~80名/日のドック受診者の方の検査に加え、各検査をPETやMRなどの各部門が連携してPETがんドック、肺がんドック、膵がんドック、脳ドック、乳がん健診、胃がん健診などにも携わっています。
院内には患者さんをサポートするために様々な医療チームが活躍しております。
紀伊半島大水害における下肢静脈超音波検診 〜土砂災害避難所でも深部静脈血栓症は検出される〜 Neurosonology 29(2):104 - 107, 2016 (2018)
東日本大震災における南三陸町・登米市避難所の深部静脈血栓症の検出率と危険因子の検討〜下肢外傷は災害時血栓の独立した危険因子である〜Neurosonology 29(2):99 - 103, 2016
Philips社製 血管撮影装置(Allura Clarity FD20)が持つ被ばく低減機能について〜EmboGuideを駆使した被ばく低減の実際〜 Rad Fan 17(9):85-87,2019
健診腹部超音波検査を契機に発見された無症候性肝外門脈瘤の1例 超音波TECHNO(9-10).69-71,2020
Contributing factors and ultrasonographic findings of fresh and chronic mixed vein thrombosis in post-earthquake: a cross-sectional study. Int J Gerontol. 17 (2023) 189-194
Two cases of acute pulmonary artery embolism triggered by fresh and chronic mixed-vein thrombosis with a "Blowfish sign". J Clin Ultrasound. 2023 May;51(4):711-714.
Simultaneous Baker's cyst rupture and deep venous thrombosis accompanied by acute pulmonary embolism. Sonography 2024, https://doi.org/10.1002/sono.12470
Study of Risk Factors and Image Findings of Isolated Abdominal Incidentally Detected Aortic Dissection.J Clin Ultrasound. 2024 Nov 4. doi: 10.1002/jcu.23889.
2015年 第18回 日本栓子検出と治療学会 ポスターアワード賞 「紀伊半島大水害における下肢静脈超音波検診」
2016年 第18回 日本栓子検出と治療学会 ポスター賞 「東日本大震災災害後慢性期に消失と再発を繰り返した反復性再発深部静脈血栓症の1例」
2016年 第18回 日本栓子検出と治療学会 抄録賞 「熊本地震(阿蘇市,南阿蘇村)における深部静脈血栓症の検出率と危険因子の検討」
2017年 第33日本診療放射線技師会学術大会 ポスター優秀賞 「熊本地震(阿蘇地区)における発災からの時間経過DVT検出率の関係」
2018年 第34日本診療放射線技師会学術大会 学術奨励賞
2019年 第35日本診療放射線技師会学術大会 ポスター優秀賞「紀伊半島大水害被災地と対照地域との深部静脈血栓症発症の比較」
2022年 第86回日本循環器学会学術集会 コメディカル部門 奨励賞 「健診腹部超音波検査が契機で発見された腹部限局性大動脈解離のリスク因子の検討」
2024年 令和6年能登半島地震医療支援 感謝状 公益社団法人 日本医師会
2024年 画論31st The Best Image 優良賞
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