私たちには二つの使命があります。
一つ目は、済生会の病院として、生活困窮者の方々を支援することです。低所得者などの医療費を免除もしくは減額する「無料低額診療(無低)事業」や、刑余者など様々な事情で生計困難な方々に医療・福祉を提供する生活困窮者支援事業「なでしこプラン」、性暴力被害者の支援、アイバンクの運営協力等の事業を行っています。
二つ目は、地域の公的病院として、地域の皆さんに最良、最適な医療を提供することです。これらの使命を全うするために、私たち、福井県済生会病院の職員は「患者さんの立場で考える」という理念の基、強いチームワークで診療を行っています。
最近の「患者さんの立場」とは何でしょうか。大きな問題は、少子高齢化です。高齢者の急激な増加により医療福祉予算の破綻や都市部での医療施設の不足等が予想され、国の方針として入院期間の短縮や在宅医療への早期移行が推進されています。
しかし、そこには当然、患者さんの大きな不安、不便が伴います。当院は患者さんの不安を最小限にするために、入退院センターでの患者さん、ご家族との相談や説明、転院先との面接、看護外来でご家族への介護技術の指導、認定看護師を転院先医療機関に派遣しての技術指導、在宅での急変に対応する救急センターの強化など、「不安の無い在宅療養」を支えてまいります。さらに2017年より早期退院が困難な患者さんのための回復期病棟(地域包括ケア病棟)も整備しました。
もちろん、理想は「元気な高齢者でいること」「健康寿命の延長」であることは言うまでもありません。MRI、PETなど高機能の設備を備え、受診者個々に対応した指導を行う「健診センター」での病気の早期発見や生活指導、「市民公開講座」や企業・地域での「健康教室」「済生会フェア」などの啓蒙も含めた予防医療も積極的に進めております。
もう一つの大きな問題は、日本人が二人に一人は経験する「がん」の問題です。当院は「がんになったとき最初に来ていただく病院」として「集学的がん診療センター」をつくりました。ここでは、手術・放射線療法・薬物治療など最新の治療法について認定がん専門相談員が詳しく説明するだけでなく、患者さん同士や医療者と語り合う「メディカル・カフェ」、がんと闘う勇気をもらう「がん哲学外来」、個々のがんについて専門医が教える「がんミニレクチャー」、親御さんががんに罹患した子を支援する「子どもたちのためのサポートプログラム」、がんと闘いながら働くための「就労支援」、子供たちに正しい知識を伝える「がん教育」など、あらゆる支援を行っています。さらに緩和ケアチームも院内だけでなく地域に出向き「苦痛のない療養」を支援しています。
済生会病院は何よりも「がんになっても不安なく療養できる」「支える医療」を目指します。
福井県済生会病院の誇りは「弱者を支え、地域で一番優しい病院であること」です。これからも、職員の気持ちを一つにして努力してまいります。
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