肝がん

肝がんの外科的治療

根治性・安全性を高めた外科的治療・肝切除術

治性・安全性を高めた外科的治療・肝切除術

肝がんにはTACEをはじめとするさまざまな治療法があり、がんの大きさや深さ、部位などに応じて治療法の決定がなされます。その中で最も根治性の高い治療法が、肝切除術です。これは手術によってがんを含む肝臓の一部を切り取る外科的な治療法。肝外転移がなく、肝機能が良好であれば、第一選択となる治療法です。

肝切除術が適応か否かを検討する際に、最も重要なポイントとなるのが肝機能です。肝臓は生命維持に不可欠な臓器なのですべてを切り取ることはできませんが、肝機能が正常であれば、全肝の約3分の2程度は切り取っても支障をきたさないとされています。そのため、たとえ大きいがんであっても、肝機能が正常であれば手術が適応となるケースもあり、小さながんでも肝機能が不良だと手術ができないこともあります。
肝切除術は肝がん治療全体の約33.6%(第17回全国原発性肝癌追跡調査報告より)を占めており、肝がんの有効な治療法の一つと位置づけられています。

3D画像による術前ナビゲーション

3D画像による術前ナビゲーション

 肝切除術は大きく2つに分けられます。その一つが系統的肝切除と呼ばれる術式です。肝臓は門脈、肝動脈、肝静脈、胆管が複雑に走行しており、これらの構造物によって全部で8つの領域に区分することができます。肝がんの多くを占める肝細胞がんは、がんの近くにある門脈に入り込んで広がるため、病巣部だけでなく、がんに近い門脈の領域をまるごと切除することが望まれます。術前にどの区域を取るかを検討し、手術計画を立案します。
 一方、がんが小さく肝臓の表面にある場合や肝臓を大きく切り取ると肝機能に影響が出る場合などには、がんを部分的に切り取る非系統的切除が行われます。

 がんをどのように切除するかはがんの大きさ、個数、部位、進行度、さらには肝臓の状態や患者さんの年齢・体力などを考慮して決定します。その判断材料となるのが画像データです。当院では画像ナビゲーションシステムを導入し、肝臓のCT画像を三次元化。3D像に基づき、がんの切除部位や切除容量などをあらかじめ推定しています。がんと脈管との関係を詳細に検討し、切除すべき脈管と温存すべき脈管を術前にシミュレーションできるため、手術の安全性・確実性がより高まっています。

CT画像を三次元化した3D画像

CT画像を三次元化した3D画像に基づき、がんの切除部位や切除容量などをあらかじめ推定しています。

8つの領域、門脈、肝静脈の走行に沿った肝臓の分類

8つの領域、門脈、肝静脈の走行に沿った肝臓の分類。術前にどの区域を取るかを検討し、手術計画を立案します。

出血を抑えて無輸血で手術

出血を抑えて無輸血で手術

 肝がんの手術を行う際、一番問題となるのは出血です。肝臓はさまざまな太さの血管が密集する、いわば血管の塊のような臓器。術中の出血は大きな課題とされてきましたが、現在では手術法や手術器具などの進化により、さまざまな出血を抑える方法が取り入れられています。間欠的肝流入血流遮断法(プリングル法)と呼ばれる手法もその一つ。肝臓に流入する血行を、鉗子などではさんで一時的に遮断。これを繰り返し行うことで、出血量を軽減します。

 肝血流は下大静脈(IVC)を通して心臓に環流しますが、手術中に心臓につながる中心静脈(CVP)の圧を下げることも出血量を抑えるのに効果があるとされています。CVP圧のコントロールは麻酔科医と連携。全身管理も含めた安全性の高い手術を行っています。また、電気メスや超音波凝固切開装置などの手術器具・デバイスも大きく発達。出血を抑えるのに有効です。
 さまざまな工夫により、かつては血の海と言われた肝切除術も今や無輸血で行うことが可能に。手術の安全性も高まり、患者さんの身体的負担を大幅に軽減しています。

傷や痛みの少ない腹腔鏡手術

これまで主に開腹手術で行われてきた肝切除術ですが、近年では腹腔鏡による手術も可能となってきました。腹腔鏡手術(腹腔鏡下肝切除術)とは、おなかに穴を数か所開け、そこから内視鏡や手術器具を入れて行う手術法。傷口が小さく回復が早いため、身体に優しい術式として胃がんや大腸がんなどを中心に広まってきました。肝がんの場合、肝臓内に無数の血管が走っているため、腹腔鏡を使った手術は他の臓器と比べると難易度が高く、普及が遅れていましたが、医療機器の開発発展とともに、一部の肝切除で保険適応の術式となりました。当院でも早期より腹腔鏡手術を導入しており、現在、肝切除術の約3割を腹腔鏡を使った術式で行っています。

 腹腔鏡手術のメリットは、前述の通り、傷が小さく回復が早いという点。肝切除量により異なりますが、開腹手術の場合、入院期間が2週間を要する手術でも、腹腔鏡手術の場合は約1週間と短く、身体的負担も少なくなります。ただし、出血のコントロールが困難であったり、手術時間が長くなるというデメリットもあり、がんの状態や患者さんのご希望などを考慮した上で腹腔鏡手術を行うかどうかを決定します。
 腹腔鏡手術に用いられるカメラも視野を調整できる可変式のカメラなど高性能のものが登場。より確かな術野を得られるようになり、手術の質を高めています。

傷や痛みの少ない腹腔鏡手術
腹腔鏡手術(腹腔鏡下肝切除術)

安全、高度な外科手術の施設認定

 2012年6月、当院は高度技能専門医の修練施設(B)に福井県で2番目に認定されました。この認定制度は、「高難度肝胆膵外科手術をより安全に、かつ確実に行うことができる外科医を育てること」を目的として、日本肝胆膵外科学会が2008年に発足したもの。認定を受けるには一定数の高難度肝胆膵外科手術実績など、厳しい要件をクリアしなければなりません。日本全国で現在認定施設は約250施設のみです。この認定は当院での肝胆膵領域の外科手術は高度な技能を有し安全に行われているという一つの証でもあります。当院では先進の手術法、手術機器、画像システムを取り入れ、患者さんにとって最善の治療に努めています。

がんに関する相談・お問い合わせ

がん相談支援センター
(南館1階 集学的がん診療センター内)

〒918-8503 
福井県福井市和田中町舟橋7番地1

受付時間 
平日 8:30~17:00(土・日曜日、祝祭日を除く)

がん相談直通ダイヤル

0776-28-1212

ページトップへ