心と体に優しいがん診療

患者さんの立場で考えるこれからのがん治療

患者さんの要望から生まれてきた“心と体に優しいがん診療”

かつてのがん治療は、部位に応じて各科で治療することが一般的でした。また、手術で病巣を切り取る外科的治療が主流で、他の治療法は付け足し的であったと言えます。しかし、この治療とは患者さんを治すためのものである反面、体にメスを入れたり臓器を切り取ったりと、患者さんを痛めつけている側面があることも否めません。がんを治すためには、痛みや苦痛があっても仕方がないという考え方で治療が行われていた時代もありましたが、一つには、患者さんがより痛みや苦痛が少なくQOL(生活の質)を保てる治療を求めるようになってきたこと、二つ目には、各分野にどんどん新しい治療法が開発されてきたことなどから、がん治療の現場にも大きな変化が訪れています。

今後のがん治療の主軸は、患者さんの痛みや苦痛を考え、患者さんの侵襲をいかに減らす手法を考えるか。患者さんの立場で考えて、その人にとって最良の選択肢を見つけるためには、一つの技術だけでは難しく、各科が力を合わせて最適な治療法を探っていくことが重要になってきます。科の垣根を越え、進化する治療機器、治療技術を反映してさまざまな治療法を検討するなど、がんの多様性に合わせて、治療の選択肢も多様化させていくべきだと考えています。

また、がん患者さんやそのご家族は、病気や治療についてはもちろん、経済面、職場や家庭での人間関係についてなど多くの不安や悩みを抱えていらっしゃいます。しかしそういった心へのケアはまだまだ進んでいないのが現状です。がん医療の隙間を埋め、患者さんやそのご家族が安心して治療に臨めるよう、当院ではメディカルカフェやがん哲学外来等の取り組みを実施し多面的にサポートしていくことで、心と体に優しい診療の充実を目指しています。

新鋭トモセラピーによるがん治療

最新鋭の放射線治療機器

そのひとつが、最先端の放射線がん治療機・トモセラピーによるがん治療です。当院では放射線腫瘍学会認定医2名を中心に、2009年5月からトモセラピーを導入しています。 トモセラピーはがんの形に合わせてピンポイントで照射することのできる最新鋭の放射線治療機器。がん以外の部位を避けて照射できるため、高線量の放射線でがんを狙いうちでき、治療成績も良好で、これからのがん治療の切り札的存在として期待されています。もちろん痛みもありません。また、手術と組み合わせて、切除範囲を小さくしたり、他の手法と組み合わせて使うことで、患者さんの身体的負担を減らしたがん治療を実現できます。 がんは一種の老人病です。日本人が長寿になるのに伴い、今後、がんはますます増えていくことが予想されます。今、三人に一人はがんで死亡していますが、近い将来それが二人に一人になるといわれています。そんな時代に向けて、身体的負担の少ないトモセラピーは一つの福音とも言えるでしょう。

切除範囲を最小限にし傷口も小さくする

TAE

当院では、トモセラピー以外にも低侵襲のがん治療をすでに実践しています。胃がんや大腸がん、肺がん、腎がん、甲状腺がんでは腹腔鏡・胸腔鏡等による手術を実践し、開腹・開胸部分を縮小。術後の痛みを抑え、回復も早くできるよう努めています。

肝がんにおいては、血管の中からがんにアプローチするTAEという手法を推進。医療機器メーカーと共同でTAE専用のキットを開発するなど、意欲的な取り組みも実践しています。

また、腫瘍学の進歩と相まって、新しい検査技術・新しい治療技術の進歩により、切除範囲を大幅に縮小できるケースも増えています。乳がんはその代表例。かつてはがんの位置をおおまかに、しかも出来るだけ大きめに捉え、大きく投網をかけるように切除していましたが、今までの研究の積み重ねで、切除範囲を最小限にとどめられ、患者さんの術後の負担、精神的な負担も軽減されています。乳房温存手術の件数は県内では最多で、心のケアへの取り組みも専門チームで行っています。

医療機器・技術の進歩とともにがん治療は変わってきています。我々治療する側も、常に今までのがん治療でいいのか考えながら、患者さんに応じたテーラーメイドのがん治療を行っていく体制が不可欠となります。

一人の名医ではなくチームで患者さんを診る時代へ

チームで患者さんを診る時代

医療とは地域に根ざし、身近にあるべきものです。地元の人が、地元で安心して治療を受けられるということが重要であり、その面では医療は一種の地場産業であると言えるでしょう。

そのような思いのもと、当院はがん診療連携拠点病院としてがん診療に力を入れています。最新のデータによると、当院は県内で最もがんの取扱件数が多いことが示されています。今後も地域の皆さまに安心できるがん治療を提供していくためには、病院が一丸となった取り組みが必要です。どんなに優れた技術を持つ名医がいても、一人では医療は成り立ちません。これからの時代は、薬剤師、看護師、コメディカル各専門職がチームを作り、それぞれが力を合わせて患者さんを診ていくことが必要。当院でもどちらかと言えば、外科系が中心だった縦割りのがん治療から、放射線科、腫瘍内科と連携を図り、科の垣根・職種の壁を越えて治療を行える体制を強化するなど、意識改革に取り組んでいます。

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(南館1階 集学的がん診療センター内)

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