肝トピックス

ビタミンA(レチノール)とNASH・・・NASH関連遺伝子との関係

肝臓川柳

ビタミンで NASHの病態 抑えられ~る

(抑えられーる…れーる…れちーる…レチノール)

ビタミンA(レチノール)は脂溶性のビタミンで、
視力や皮膚の機能を保つために重要なビタミンで、
抗感染、抗酸化、さらに抗癌作用を示すことが知られていますが、
肝臓はビタミンA代謝の中心臓器です。
実は、ビタミンA(レチノール)は、
NASH(非アルコール性脂肪肝炎)と強い逆相関関係、
すなわちビタミンA(レチノール)がNASHの病態進展の抑制に関わるようです。

以前ご紹介したNASHの進展に重要な遺伝子HSD17B13, PNPLA3の
作用と関連すると最近のHSD17B13のレビューで報告されています。
*論文のFigureの一部を簡略に紹介しますと、
PNPLA3は肝星細胞(肝臓の類洞腔に位置し、類洞内皮を長い突起で取り巻いている細胞)
でレチノールの産生に関わり、遺伝子変異があると産生されなくなりますが、
HSD17B13は肝細胞でレチノールの分解に関わり、
遺伝子変異があると分解されなくなり、そのレチノールが肝細胞から肝星細胞に運ばれます。
レチノールは肝臓の線維化、炎症、肝星細胞の活動性を抑制しますので、
この遺伝子の働き(変異有無)による
レチノール代謝の変化がNASHの病態趨勢に関わる一因ではないかと言われています。


これだけ覚えておいて損はない!
今回のポイント

星細胞のレチノール(ビタミンA)は肝臓の線維化、炎症、肝星細胞の活動性を抑制します
NASH関連遺伝子の働きによりレチノール代謝が変化する事から、これがNASHの病態に関わる一因ではないかと言われている。

(文:福井県肝疾患診療連携拠点病院 肝疾患センター長 野ツ俣 和夫)

2023.4.25 更新

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