C型肝炎治療ソーシャル・インクルージョン(誰も排除されない)版
- 肝臓川柳
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検査治療 全ての人を 包み込む
(包み込む・・・包摂(ほうせつ)・・・社会的包摂=ソーシャル・インクルージョン※社会的に全体を包み込む=誰も排除されず全員が社会に参画する機会を持つこと)
C型肝炎のDAA治療(経口抗ウイルス剤投与)が広く行われ、
多くの患者さんがウイルス駆除され恩恵に預かってきましたが、
認知機能低下がある高齢者や自分で病院に行けない被介護者などの
いわゆる社会的弱者には、検査や治療が躊躇される場合が多い現状です。
しかし以前より、HCV排除によりQOLが改善し元気になると言われていますし、
最近、比較的詳細に認知機能とC型肝炎ウイルス駆除について研究された結果では*、
ウイルス排除後、運動機能、実行機能、処理速度、注意力、全般的な認知機能尺度、
精神神経機能、さらに気分、健康関連生活の質の改善がみられ、
最も利益が大きいのは、高齢者と予備能の低い患者であったと報告されています。
医療者や介護者は、
このようなC型肝炎ウイルス陽性の社会的弱者の方々にも関心を持ち、
積極的なウイルス検査や適応があればDAA治療を推進するべきではないかと思います。
*Ibanez-Samaniego L, et al. Hepatitis C eradication improves cognitive function in patients woth or without cirrhosisi. A prospective real-life stoudy.Europian Journal of Neurology. Published online, 11 October 2021.
- これだけ覚えておいて損はない!
今回のポイント -
C型肝炎ウイルス排除後、様々な機能や健康関連の生活の質の改善が見られ、
特に高齢者や予備脳の低い患者には最も利益が大きかったとの研究結果があります
医療者や介護者は積極的なウイルス検査や治療を推進していくべきでしょう
(文:福井県肝疾患診療連携拠点病院 肝疾患センター長 野ツ俣 和夫)
2022.4.28 更新