脂肪肝の予後には“肝臓の線維化”のみが大きくかかわる!
- 肝臓川柳
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癌増加 繊維の肝も ナッシュから
(千里の道も一歩から・・・線維化しないように、ナッシュにならないように・・・)
健診で肝機能障害がある方は今や3人に1人・・・
その多くがアルコールを飲まない“脂肪肝”が原因で、日本人の約2000万人が罹患していると言われ、
その中の1割の200万人が、
肝炎→肝硬変→肝癌へと進展する可能性のある
“非アルコール性脂肪肝炎(NASH:ナッシュ)”と言われています。
これまで肝トピックスでもナッシュの研究が進んでいることは何回か紹介してきましたが、
衝撃的だったのが、2015年Paul Augloらの、
「ナッシュの進行は、肝臓の脂肪や炎症が原因ではなく... 、肝線維化のみ... が予後に関わる」
という報告です。
さらには、線維化が進むと心血管系の病気や他の臓器の癌が増えて予後が悪くなるとのことです。
肝臓の線維化が、肝臓ではなくて、肝臓以外の他の疾患や癌を増加させるというのは驚きです。
詳細な機序は分かりませんが、肝臓が他の臓器と深く関わっている一つの現象だと思います。
人間の臓器同士の相関については、現在、
NHKスペシャル
「シリーズ人体~神秘の巨大ネットワーク ”臓器たちは会話している“」(9月30日より8回シリーズ)
でも紹介しています(第2集”脂肪と筋肉の会話がメタボを治す“ 11月5日(日))
- これだけ覚えておいて損はない!
今回のポイント -
ナッシュの進行は、肝臓の脂肪や炎症が原因ではなく、肝線維化のみが予後に関わる
線維化が進むと心血管系の病気や他の臓器の癌が増えて予後が悪くなる
肝臓の線維化が、肝臓ではなくて、肝臓以外の他の疾患や癌を増加させる(文:福井県済生会病院(肝疾患診療連携拠点病院) 肝疾患センター長 野ツ俣 和夫)
2017.10.17 更新