お知らせ
大腸CTドックスタート|大腸がん検査の種類と特徴
大腸内視鏡ができない方へ朗報です。
大腸がん早期発見の新たな選択となる、大腸CTドックが2025年8月4日(月)からスタートします。
大腸がんによる死亡数は全がん中で、男性2位、女性1位(2023年度)であり、健診での早期発見・治療が重要となります。
また、便検査では見つけられないがん・ポリープもあります。大腸内視鏡ができない方にとっては心配事がつきません。
そこで、内視鏡を使わない新たながん検診の選択肢として大腸CTを導入しました。
3次元(3D)画像処理により内視鏡に近い精度で検査ができるようになりました。
大腸がんについてリスク、予防法、大腸CT検査について3回シリーズでご紹介します。
大腸がん検査の種類と特徴
前回の特集では、日本人にとっての大腸がんのリスクと予防方法について解説しました。今回は大腸がんの検査方法に焦点を当て、便検査、大腸CT検査、大腸内視鏡検査の特徴や適応について詳しくご紹介します。ご自身に適した検査方法を選ぶ際の参考にしてみてはいかがでしょうか。
大腸がん検査の重要性
大腸がんは早期発見・早期治療により90%以上の確率で完治が可能ながんです。しかし、初期段階では自覚症状がほとんどないため、定期的な検査が非常に重要となります。40歳以上の方に対して、年に1回の大腸がん検診を推奨しています。
大腸がん検査の種類と特徴
大腸がんの検査方法には主に以下の3種類があります。それぞれ特徴が異なりますので、自分の状況や希望に合わせた検査方法を選ぶことが大切です。

1. 便潜血検査
概要:便中の血液(肉眼では見えない微量の血液)を検出する検査です。
<特徴>
o メリット
簡便で痛みがなく、自宅でも実施可能
費用が安い(数百〜千円程度)
基本的な健康診断に含まれることが多い
o デメリット
がんそのものを直接確認できるわけではない
偽陽性・偽陰性の可能性がある(精度は70〜80%程度)
陽性の場合は精密検査(大腸内視鏡検査など)が必要
<検査方法>
1. 専用の採便容器に2日分の便を少量ずつ採取
2. 医療機関または検診センターに提出
3. 数日〜1週間程度で結果が通知される
<適応>
40歳以上の方は年1回の受診が推奨
症状がない方の基本的なスクリーニング検査として最適

2. 大腸内視鏡検査
概要:肛門から内視鏡を挿入し、大腸内部を直接観察する検査方法です。
<特徴>
o メリット
大腸の状態を直接目で確認できる(最も精度が高い)
同時にポリープの切除や組織採取(生検)が可能
一度の検査で大腸全体を詳細に観察できる
o デメリット
カメラの死角の病変は見つけにくいことがある
検査前に厳格な腸管洗浄(前処置)が必要
検査中の不快感や痛みを伴うことがある
まれに出血や穿孔などの合併症のリスクがある
<検査方法>
1. 検査前日からの食事制限と前日夜〜当日朝に下剤を服用
2. 肛門から内視鏡を挿入し、大腸内部を観察
3. 検査時間は通常10〜30分程度
4. 異常所見があれば同時に処置や組織採取が可能
<適応>
便潜血検査で陽性となった方
大腸がんの家族歴がある方
大腸ポリープの既往がある方
腹痛、下血、便通異常などの症状がある方

3. 大腸CT検査(CT colonography)
概要:CTスキャンを用いて大腸の断層撮影を行い、画像処理技術によって大腸内部の3D画像を構築する検査方法です。
<特徴>
o メリット
内視鏡の挿入がなく、身体的負担が少ない
検査時間が短い(10〜15分程度)
鎮静剤が不要で、検査後すぐに日常生活に戻れる
大腸内の狭窄があっても全大腸の検査が可能
o デメリット
内視鏡検査と同様に前処置が必要
病変の色や硬さの情報は得られない
病変を発見しても、その場での治療や組織採取はできない
微小な病変(5mm未満)の発見率は内視鏡より劣る
通常のCTの1/4程度の放射線被ばくがある
<検査方法>
1. 内視鏡検査と同様の前処置を行う
2. 検査台に横たわり、肛門からCO2ガスを注入して大腸を膨らませる
3. 仰向けと腹ばいの2体位でCT撮影を行う
4. 専用ソフトウェアで3D画像を作成し、医師が読影する
<適応>
内視鏡検査に抵抗がある方
高齢や基礎疾患のため内視鏡検査のリスクが高い方
大腸の狭窄や屈曲が強く、内視鏡が通過困難な方
内視鏡検査の既往で強い苦痛を経験した方
大腸がんのスクリーニング検査として(特に50歳以上)
大腸がんの検査方法には、便潜血検査、大腸内視鏡検査、大腸CT検査などがあり、それぞれ特徴が異なります。
• 便潜血検査:簡便で負担が少なく、スクリーニング検査として最適
• 大腸内視鏡検査:精度が最も高く、同時治療が可能だが身体的負担がある
• 大腸CT検査:内視鏡と便検査の中間的な位置づけで、負担を抑えつつ高い精度が期待できる
健康状態やリスク要因に応じて、適切な検査方法と間隔を医師と相談することが重要です。定期的な検査を受けることで、大腸がんの早期発見・早期治療につながります。
【次回予告】 大腸がん健診特集:大腸CTドックの特徴 最新の検査方法として注目されている大腸CT検査の健診における役割と有用性について詳しく解説します。

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