【健康経営】INVEST IN WELLNESS vol.8 制作現場レポート

健康に向き合うきっかけは、制度や義務ではなく、身近な誰かの声や想いかもしれません。
2025年度のINVEST IN WELLNESSでは、「あなたのまわりの健康の“旗振り役”」をテーマに、社会・企業・家庭で健康づくりを先導する人たちの声を届けます。
家族の健康を支えるのは?
INVEST IN WELLNESS Vol.08では、「家庭の中の健康の旗振り役」に焦点を当て、日々の生活の中で健康を支えている人たちの声を紹介します。
Webページでは、誌面では伝えきれなかったエピソードを通して、食事・時間・働き方の変化が、家族や自分自身の健康につながっていく過程を追いました。
料理代行を利用して、家族はどう変わったか
料理代行を利用するようになってから、食事や家族の様子にどんな変化がありましたか。
我が家は副菜の調理をメインでお願いしています。自分で用意すると、レパートリーがなかなか増えないのですが、今はいろいろなおかずが食卓に並ぶようになりました。
子どもたちもよろこんで食べていますし、好き嫌いは少ないほうだと思います。夫と「最近、あまり風邪ひかなくなったね」と話すこともあります。
料理代行を提供する長田さんの立場から見て、利用者の方にはどんな変化が多いと感じますか。
提供する立場として見ていると、食事が整ったこと以上に、時間の使い方が変わったと話される方は多いです。たとえば、仕事で忙しい経営者の方は、料理の時間がなくなることで仕事に集中しやすくなったと言われます。家事の合間に子どもを見ていた方が、料理代行をお願いしているあいだに、子どもとじっくり遊べるようになった、という話も聞きます。
食事が整うという面もありますが、時間の使い方を自分で選べるようになる、というところが大きいのかもしれません。
実際に、時間の使い方についてはどう感じていますか。
うちは買い物代行も利用しています。以前はスーパーで何を買うか悩んだり、使いきれない食材を買ってしまって、賞味期限を見て焦ったりすることがよくありました。
買い物代行をお願いするようになってからは、そういうことがなくなりました。食材のロスも減りましたし、効率がいいだけでなく、結果的に経済的なのでは、と感じることもあります。
以前は、料理代行というと以前は「お手伝いさんですか?」と聞かれることもありました。でも最近は、便利さや家事の手間を減らすだけでなく、健康のことや時間のことなど、もっと大切なものを提供している、と受け取ってもらえる場面が増えてきたと感じています。
家族の健康と、自分自身の健康と
働き方や時間の使い方が変わるなかで、ご自身の健康や生活について、どんな気づきがありましたか。
会社員から個人事業主になって、時間の使い方は自由になりました。余裕はできたと思いますが、その分、手が空くと仕事をしてしまったりして、自分のことは後回しになっているなと感じることもありました。一人で全部やろうとするのではなく、家族を頼るようになったのは大きな変化です。夫と協力して、家事と子どものことを分担しています。
私は以前、会社員としてフルタイムで働いていて、「時間がない」というのが口癖でした。子どもの入学や進級のタイミングが重なったこともあり、これまでと同じ働き方を続けるのは難しいと感じるようになりました。
個人事業主になってからは、すべてが解決したわけではありませんが、時間の使い方を自分で調整できるようになり、「時間がない」と感じることは減りました。忙しかった頃はイライラしてしまうことも多かったですが、今はそういう場面も少なくなっています。
ライフステージや働き方の変化を経て、今のお二人にとって「健康」とはどんな状態でしょうか。
40代になって、更年期のことや骨密度のことも気になるようになりました。自分では元気だと思っていても、数字で見て確認できるのは大事だと感じています。健診はつい後回しになりがちですが、制度として決まっていると、受けるきっかけになります。
私にとっては、健康とはやりたいことができる状態、という感覚です。体調を気にせず動けて、新しいことにも挑戦できる。そのための土台が整っていることが、健康なんだと思っています。
私は、心の健康がすごく大事だと思っています。毎日を慌ただしくこなすだけではなく、自分の気持ちに少し余裕があって、落ち着いて過ごせているかどうか。そうした状態でいられることが、健康と言えるのではないかなと思います。
POINT!
2026年から40代以上の女性に、骨密度検査がスタート
協会けんぽでは、40代以上の女性を対象に骨密度検査が始まります。自覚症状がなくても、今の状態を数値で確認できることが、これからの健康を考える一つのきっかけになります。
協会けんぽ 福井支部公式サイト https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/fukui/
無理なく続く生活改善とは、どんな形?
家族の食事や時間の使い方が変わり、やがて自分自身の健康にも目が向いていきます。その入り口になるのが、多くの人にとって「健診」や「人間ドック」です。健診や人間ドックは、検査を受けて終わりではありません。そこで得られた数値や気づきを、その人の生活につなげていく関わりがあります。
無理なく続く生活改善とは、どんな形なのでしょうか。人間ドックの「その後」に、保健師はどのように伴走しているのかを聞きました。
特定保健指導というと、「食事制限」や「運動をがんばる指導」を思い浮かべる人も多いと思います。実際には、どんなところから始まるのでしょうか。
まずは健診結果を見ながら、「この結果を見てどう感じましたか」と聞くところから始めています。同じ数値でも受け取り方は本当に人それぞれで、その反応から、その方の今の温度感が分かることが多いです。そこから、普段どんな生活をしているのか、食事の内容や生活リズムについて少しずつ話を聞いていきます。
数値そのものよりも、受け止め方を大事にしているんですね。
そうですね。いきなり「これをやりましょう」と決めてしまうことはあまりありません。できていないところを指摘するというより、今どんな生活をしているのかを一緒に整理していく、という感覚に近いと思います。外食が多い理由や、間食が増えてしまう時間帯、忙しくて朝食を抜いてしまう事情などを聞いていくと、「全部を変えるのは難しそうだな」ということも自然と見えてきます。
そのとき、どんな声かけを意識されていますか。
完璧を目指さなくていい、ということはよくお伝えしています。「これならできそう」と思えることを一つ決めて、そこから始めてみましょうか、という形ですね。そのほうが、結果的に続きやすいと感じています。特定保健指導は、正解を教える場というより、その人の生活に合ったやり方を一緒に考えていく時間なのかなと思っています。
生活の中で続けられる形を、特定保健指導で一緒に探す
特定保健指導は3か月間続くと聞きました。関わり方にも特徴があるのでしょうか。
はい。最初の面談だけで終わるわけではなくて、3か月のあいだ、日常的にメッセージでやり取りをしながら様子を見ています。「今週はどうでしたか」とか、「ここはできましたか」といった形で確認しつつ、1か月後、2か月後と振り返りながら進めていくことが多いです。
POINT!
特定保健指導で生活習慣病を予防
健診センターでは、40~74歳を対象に特定健診・特定保健指導を実施しています。健診結果から生活習慣病のリスクが高いと判断された場合、保健師や管理栄養士による3カ月間の特定保健指導が始まります。身長・体重・腹囲・血液検査などの結果をもとに、食事や運動など日常生活の改善点を一緒に整理し、メールまたは電話でやり取りをしながら実行支援をします。
https://www.fukui-saiseikai.com/health_check/center/specific/about.html
どんな点を確認しながら進めているのでしょう。
体重や腹囲などの数値とあわせて、実際にどんな行動ができているかを確認しています。数値だけを見るのではなく、「この1か月、何を意識して過ごしてきたか」「どんな工夫をしたか」といった行動の部分も一緒に振り返ります。
数値と行動をセットで見ているんですね。
そうですね。生活の中では、どうしてもうまくいかない日も出てきます。そのときに、ずっと優しいだけでは行動につながりにくいですし、厳しさだけでも続きません。頑張っているところはきちんと認めつつ、必要な場面では少し厳しいことも伝える。そのバランスを見ながら関わっています。
いわゆる「アメとムチ」のような関わり方でしょうか。
近いかもしれませんね。アメとムチを使い分けながら、「じゃあ次はどうするか」を一緒に考えていく、というイメージです。できなかったことを責めるというより、次につなげるための材料として捉えています。
3か月間で、最終的に目指していることは何でしょうか。
短期間で数値を下げることではありません。生活の中で、これなら続けられそうだと思える行動が見つかっている状態をつくることです。一人ではなかなか難しいことも多いので、その期間、一緒に整理しながら関わっていく、という感覚ですね。
POINT!
2026年度から始まる、協会けんぽの人間ドック費用補助
2026年度(令和8年度)から、協会けんぽでは35歳以上の被保険者を対象に、人間ドックの費用補助が新たに始まります。一定の検査項目を満たした人間ドックを受診した場合、定額25,000円が補助されます。
これまで人間ドックへの直接補助はありませんでしたが、この制度により、年齢や性別に応じた健康課題に対応しやすくなり、健診の受診機会が広がることが期待されています。
協会けんぽ 福井支部公式サイト https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/fukui/
「旗振り役」への取材を終えて


2025年度の「INVEST IN WELLNESS」では、健康を支える「旗振り役」に焦点を当ててきました。社会で、企業で、家庭で、誰かが行動を起こすことで、自分自身を大切にする意識は広がっていきます。そのバトンはいま、これを読んでくださっているあなたに手渡されています。
健診や人間ドックの制度を活用することは、未来への投資(INVEST)。
今年の健診を、自分の未来に目を向ける時間にしてみませんか。
そして、投資した先にある、あなたらしい「幸せなかたち」とはどんなものでしょうか。
『INVEST IN WELLNESS』は、次号から新しいフェーズへ。
あなたらしい「幸せなかたち」=Well-beingについて深掘りしていきます。