【健康教室】開催レポート|「がんを知り、未来に備える」坂井市高校生がん教育講座
“がん”は、あなたにとって遠い病気ですか?
2025年11月11日、坂井市内の高校生を対象とした「がん教育講座」が開催されました。坂井市民の死亡原因の第1位が「がん」である中、将来の地域を担う高校生に対し、自分と家族の健康の大切さに気づき、がん予防の方法を身につけることを目的としています。
講師を務めたのは、福井県済生会病院 産婦人科主任部長の黒川哲司氏です。
この日の授業の目的は、大きく分けて二つです。一つは、「がん」は日常生活やワクチンで予防できる部分があることを知り、「高校生の今から活用」 すること。もう一つは、検診で早期発見できる知識を学び、「まずは大切な御家族に」 伝えることです。
「がんを知り、未来に備える」ために、高校生が今知るべき知識が熱く語られました。
演題:がんについて皆さんと一緒に考える!
講師:黒川哲司 福井県済生会病院 産婦人科主任部長
約2人に1人がかかる現実。「敵を知り、己を知る」ことの重要性
授業は、「“がん”には一生かからない!」と思うか?という問いかけから始まりました。しかし、現実は異なります。生涯がん罹患リスクは、男性で約1.5人に1人、女性で約2人に1人に上ります。
黒川部長は、がんは決して特別な病気ではなく、誰もが直面し得る病気だからこそ、「正しく知って、備えることが大切」であると強調しました。
この備えの重要性は、「敵を知り己を知れば百戦殆うからず」(孫子の兵法) になぞらえられました。すなわち、“がん”を知り“自身の健康”を知れば、将来がんで悩むことも、がんで亡くなることも減らすことができる、という強いメッセージが参加者に贈られました。
がんの予防は「今日の選択」にかかっている
「がん」は、遺伝子の異常により制御不能に増殖し、周囲に広がる「浸潤」や、他の部位に広がる「転移」を引き起こす病気です。がんの原因は「外因要因」「遺伝子要因」「偶発的要因」に分けられますが、私たちが生活の中でコントロールできる「外因要因」が30〜40%を占めています。
1. 日常生活で減らせるリスク
外因要因には、タバコやアルコールなどの化学的要因、放射線や紫外線などの物理的要因、そしてウイルスや細菌などの生物学的要因が含まれます。
特に生活習慣は重要です。肥満、腹部肥満、体重増加、身体活動不足は、食道、大腸、乳房(閉経後)、子宮内膜、腎臓、すい臓など、様々ながんのリスクを「確実」または「ほぼ確実」に高めます。逆に言えば、食生活の改善や身体活動を行うことで、これらのがんの多くは予防可能だということです。
2. 感染症とワクチンで防ぐがん
がんの中には、特定のウイルスや細菌の感染が深く関わっているものがあります。
• B型・C型肝炎ウイルス → 肝がん
• ヘリコバクター・ピロリ菌 → 胃がん
• ヒトパピローマウイルス(HPV) → 子宮頸がん
講師は、特に子宮頸がんの原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス) に焦点を当てました。HPVは性的な接触によって感染する性感染症であり、検診に参加した無症状の25〜29歳の女性の6人に1人が感染しているほど身近なウイルスです。
このHPV感染から子宮頸がんになる経過を止めるための、最も強力な手段の一つが**「ワクチン」**です。
ワクチンは、病原体が来る前に免疫を準備させ、病気から身を守る役割を果たします。国が定期接種を呼びかける目的は、接種者本人の予防だけでなく、「自分の身近な人に病気をうつすのを防ぐ」、つまり家族や地域、世界中の人々を感染症から守るという公衆衛生的な目標があるためです。
▶高校生に伝えられた「最低限のお願い」
HPVワクチンの定期接種の年齢は小学校6年生相当から高校1年生相当です。黒川先生は、高校生に対し、「あなたは高校1年生までに接種しておかなければ…」と語りかけました。そして、「ワクチンについての最低限のお願い」として、接種するかどうかを**「家族と話し合う」** ことの重要性を訴えました。
最後に、授業のまとめとして、高校生への重要なメッセージが再確認されました。
1. 「がん」予防は、健康な今から始めましょう! 日常生活の改善や、ワクチンで予防できるがんがあることを忘れずに。
2. 「大人になったらがん検診に必ず受けに行く」。
3. 御家族にも「検診で“がんの早期発見”は重要!」を伝えて下さい。
がんの知識は、決して難しいものではなく、自分の命と健康を守るための「羅針盤」です。今回の講座は、参加した高校生たちが、将来の健康を自分事として捉え、行動するきっかけを与える貴重な機会となりました。
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