
泌尿器科医長
三輪 聰太郎
前立腺肥大症について、皆さんに「腎臓と膀胱:図式1」及び「膀胱と前立腺:図式2」の状態を画像で見ていただき、お話ししたいと思います。
まず、前立腺肥大症とは?・・・前立腺が大きくなり内側の尿道を圧迫したり、前立腺の筋肉が過剰に収縮して尿道が圧追されるために排尿障害を起こす病気ということです。では、前立腺肥大症とはどんな病気ですか?図式3・・・それは画像による正常な前立腺を見ていただければ、前文に記した病気ということでご理解が得られると思います。
前立腺肥大症の年齢別患者数としては、400万人の内55歳ぐらいの10万人から最も多い70歳の25万人(1998年の年齢別患者数)が、この病気と直面しています。
それで、前立腺肥大症を放っておくと・・・? 日常的に次の3つの重要なことが、起こり身体に異常が発生します。
- 膀胱の筋肉の異常な動きを生じやすい。
- 膀胱の機能が衰え、残尿を生じやすくなる。
- 残尿の増加は腎臓の機能低下を招きやすく、慢性腎不全や尿毒症を起こしやすい。
- 尿閉を起こすことがある(お酒を大量に飲んだ時、抗コリン作用のある風邪薬を飲んだときなど注意)

健康教室の様子
なお、前立腺肥大症の検査:図式4については次の通りです。
- 問診
- 尿検査
- 血液検査(PSA)
- 直腸内指診
- 尿流測定
- 残尿測定
- 内圧
- 尿流測定
- X線検査 などをします。
前立腺細胞が作り、とくに「前立腺がん」があると増える物質で早期発見に役立つ検査です。(但し、前立腺肥大症や前立腺炎でも増えてきます)その他に、触診で前立腺の大きさ・硬さ、表面のなめらかさを確認し、さらに超音波検査で前立腺の大きさを確認、がんや結石の有無を確認、また残尿(膀胱に残っている尿)の有無を確認、尿流測定で尿の勢い時間を追って調べます。
| 図式1.腎臓と膀胱 |
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図式2.膀胱と前立腺 |
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| 図式3.前立腺肥大症とはどんな病気ですか? |
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図式4.前立腺肥大症の検査「超音波診断」 |
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<前立腺肥大症の治療について>

健康教室の様子
- 薬物療法 a 1ブロッカー
- イ、薬物療法で最も多く使われている治療法です。
ロ、比較的速やかに排尿障害の症状を改善します。
ハ、前立腺や尿道の筋肉をリラックスさせ尿を出やすくさせます。
ニ、血圧が下がったり、目まいやふらふら感が起こる(副作用)ことがあります。
ホ、現在は副作用の少ないブロッカーが使用されています。

- 抗男性ホルモン剤
- イ、前立腺を縮小させる働きがあります。
ロ、 効果が現れるまでに2〜3ヶ月間かかります。
ハ、 薬をやめると元に戻ることもあります。
ニ、 男性的機能を低下させることがあります。
ホ、 前立腺がんの発見の妨げになることもあります。

- 漢方薬・植物製剤
- イ、作用メカニズムや効果のほどは十分解明されていません。

- 手術療法(外科的治療、根治的手術)
- イ、経尿道的前立腺切除術
ロ、前立腺摘除術
ハ、経尿道的内視鏡的レーザー切除術
ニ、前立腺組織内レーザー凝固術
ホ、尿道ステント法

- 低侵襲性治療
- イ、温熱・高温度治療
ロ、経尿道的内視鏡的レーザー切除術
ハ、前立腺組織内レーザー凝固術
ニ、尿道ステント法
<前立腺肥大症の治療薬について>
Q1.薬は毎日飲まなくてはいけないのですか?
A1.毎日指示通りに飲むようにします。
Q2.薬をやめたいときにはどうすればいいですか?
A2.手術で肥大した部分を切除する、もしくは尿道にステントを挿入するといった方法を検討します。
Q3.薬は長く飲まないといけないですか?
A3.症状を改善するための薬ですのでやめると元の症状が出ることもあり、多くの患者さんは長く飲まれます。
肥大が大きくなると手術を行う場合もあります。
Q4.前立腺肥大症は前立腺がんになりますか?
A4.前立腺がんと前立腺肥大症は別の病気で、肥大症ががんになることはありません。
<手術による治療について>
- ■経尿道的前立腺切除術:図式5
- 特徴として、電気メスで肥大した前立腺の内側を削り取る方法があります。この手術は、最も確立された標準的な手術法であります。すぐに効果を実感できますし、再発が少ないというメリットがあります。
- ■経尿道的内視鏡的前立腺レーザー切除術
- ■前立腺組織内レーザー凝固術
- ■尿道ステント法
- ■経膀胱的前立腺摘除術(開腹手術)
- ■恥骨後式前立腺摘除術(開腹手術)
- ■高温度療法
- 特徴として、前立腺を内側から温め縮小させる方法があります。但し、大きくなった前立腺には不向きです。
治療は、1時間程度(日帰りも可能)ですし逆行性射精が起きにくいというメリットがあります。また、デメリットとして症状改善までに時間がかかります(1ヶ月〜数ヶ月)。更に、再発の可能性があります(2〜3年後)
- ■排尿障害を悪化させないために:図式6、図式7
- アルコールを控えましょう。
刺激の強い食品を避けましょう。
軽い体操や散歩など、適度な運動をしましょう。
コレステロールの多い脂肪・タンパク質をとりすぎないようにしましょう。
おしっこをがまんしないようにしましょう。
下半身を冷やさないようにしましょう。
太りすぎないようにしましょう。
適度の水分補給をしましょう。夜間頻尿がある場合は、夕方からの水分を控えめにしましょう。
適温でゆっくりと入浴し、全身の血行をよくしましょう。
長時間座ったままの姿勢を避けましょう。
便秘にならないように注意しましょう。
カゼ薬や胃薬、精神安定剤などを服用するときは医師・薬剤師などに相談しましょう。
図式5.手術による治療 「経尿道的前立腺切除術(TUR-P)」 |
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図式6.排尿障害を悪化させないために |
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| 図式7.排尿障害を悪化させないために |
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