
産婦人科部長
細川 久美子
今日は、「老化(エイジング)とアンチ(反対・抵抗)エイジングについて」、次に「老化に関連する女性の病気」、さらに「老化対策とアンチエイジングの基本」はどうすればいいのか、をテーマにお話をしたいと思います。

それでは、エイジングとアンチエイジングとはどういう概念なのでしょうか。因みにアンチとは、アンチ巨人という言葉に使われているように反対する、または抵抗するという意味あいのものです。
では果たして老化とは病気でしょうか、それとも病気ではなく自然現象(生理的現象)なのでしょうか? そこで加齢と老化について整理してみますと、次の三つの段階に分けることができます。すなわち最初は「物理学的加齢」でこれは時間の経過に伴って起こる劣化現象をいいます。次が「生物学的加齢」でこれは物理学的加齢が蓄積された結果、心身に変化が認められた状態をいいます。その「生物学的加齢」が蓄積された結果が最終段階の「老化」です。もはや心身の変化が不可逆になる状態で、病気を持っているとその変化が加速されます。したがって老化には生理的老化のほか、病的加速を伴った病的老化があるということになります。そして病的老化に対して積極的に予防対策や治療を行うのがアンチエイジング医学です。以上が老化とアンチエイジングの概念です。

次に老化に関連する女性の病気についてお話します。女性の老化に深く関係するものに女性ホルモン(エストロゲン)があります。女性ホルモン(エストロゲン)はからだのさまざまな部位に作用し、その場所は、乳房、子宮、卵巣だけでなく、心臓、血管、脳、頭髪、皮膚、骨などにも及びます。
女性ホルモン(エストロゲン)の低下に伴い、色々な症状が次々と現れるのが更年期症状であり、更年期症状がひどく、日常生活に支障をきたすほどの状態を更年期障害といいます。その他、女性ホルモン(エストロゲン)の低下と関係ある病気として骨粗鬆症があります。

ではまず更年期障害について述べます。その主原因は女性ホルモン(エストロゲン)の低下ですが、その他に「心理」、「環境」が上げられます。心理的には性格で申しますとわりかしきっちりとした方、物事を最後までやり遂げないと気が済まない人が更年期障害に陥りやすいですね。「環境」とは、自分達の子供が進学する、就職する、結婚する、あるいは夫や自分が定年を迎える、など生活のうえで大きな変化が生じてくることをさします。更年期障害の症状は多彩であり、ホットフラッシュ(急に起こるのぼせ、体温の変化)や肩こり、冷え、腰痛、耳鳴り、疲れやすい、など20項目ぐらいあります。治療として専門家のカウンセリングを受診するのも一つの方法ですし、日常の生活習慣の改善として、適度な運動を持続的にすること、さらに、入浴、マッサージなどをすることも効果があります。あとは、漢方薬とかホルモン治療法、薬物療法がありますので、医師とよく相談して下さい。

次に骨粗鬆症ですが、これは骨に鬆(す)が入り、スカスカになっていく状態のことです。幼少のころから牛乳や小魚を食べカルシュウムを摂る習慣があることで、ある程度病気の予防ができます。

最後に老化対策=アンチエイジングについてお話します。
先ほど病的老化に対して積極的に予防対策や治療を行うのがアンチエイジング医学と述べました。では病的老化の原因にはどんなものがあるのでしょうか? 大きく分けて三つの要因があり、一つは身体要因すなわち遺伝子に基づくものです。これは個人の努力で改善できません。二つめは大気汚染や食品添加物、ストレスなどの環境要因です。これも個人の努力のみでは改善することがなかなか困難です。三つめは睡眠不足、偏食、過食、激しい運動、喫煙などの生活習慣要因であり、これは個人の努力で改善できます。ここを改善し、理想の健康状態にもっていくことがアンチエイジングです。

では理想の健康状態というのは、いったいどういう状態でしょうか? 不老不死、不老長寿、が現実ありえないことはおわかりになるでしょう。では健康長寿でしょうか? いえ、それもむずかしく、歳をとれば何かしら病気をかかえますから、病気をかかえた状態でとりあえず元気でいられる元気長寿を理想とします。それぞれの年代において心と体が生き生きとしている理想的な健康状態がオプティマルヘルスという概念であり、すなわちからだ全体がバランスよく均質に老化することを意味します。均質な老化をめざすには自分の身体機能の弱点を知ることが必要です。そこでここに簡単なテストをご用意しました。皆さん、是非これをやってみてご自身の弱点をみつけて下さい。そして弱みにつけこまれないよう調和のとれた老化を目指していきましょう。