【開催レポート】働く女性のいきいき応援!『睡眠と腸内環境から始める健康セミナー』
【開催レポート】働く女性のいきいき応援!『睡眠と腸内環境から始める健康セミナー』
秋晴れの心地よい週末となった2025年9月27日(土)、コートヤード・バイ・マリオット福井にて、健康保険組合連合会福井連合会様主催の「働く女性のいきいき応援!睡眠と腸内環境から始める健康セミナー」が開催されました。
講師にお招きしたのは、福井県立大学 看護福祉学部で教授を務める笠井恭子先生。「なかなか寝付けない」「熟睡した感じがしない」といった、多くの働く女性が抱える悩みに、睡眠科学の視点から優しく、そして力強く答えてくださいました。会場は満席となり、参加者の皆さんの真剣な眼差しが印象的だった本セミナーの様子を、余すところなくお届けします!
その習慣、大丈夫?睡眠に関する3つの落とし穴
セミナーは、参加者の皆さんもドキッとするような、睡眠に関するクイズからスタートしました。良かれと思ってやっているその習慣、実は快眠を遠ざけているかもしれません。
寝る前のお酒は「眠りの借金」を増やすだけ
「寝る前にお酒を飲むと、リラックスできてよく眠れる」…そう思っていませんか?笠井教授によると、これは大きな間違い。アルコールは寝つきを良くするように感じさせますが、体内では分解される過程で覚醒作用のある物質「アセトアルデヒド」に変化します。その結果、夜中に目が覚めやすくなったり、浅い眠りが増えたりして、睡眠の質を大きく下げてしまうのです。お酒は楽しい晩酌までが、快眠への第一歩です。
夕食後のコーヒー、その一杯が眠りを浅くする
コーヒーや玉露などに含まれるカフェインには、強力な覚醒作用があり、その効果は4時間以上も続くことがあると先生は指摘します。夕食後のコーヒータイムは至福のひとときですが、その一杯が夜の眠りを妨げている可能性が大。特にカフェインは、記憶の整理や心の安定に関わる大切な「レム睡眠」を阻害することがわかっています。夕方6時以降は、ノンカフェインのハーブティーなどに切り替える工夫が大切です。
年齢とともに眠りが変わるのは自然なこと
「若い頃のようにぐっすり眠れなくなった」という悩み。これに対し、笠井教授は「ごく自然なことですよ」と優しく語りかけます。睡眠のパターンは年齢と共に変化し、深いノンレム睡眠が減り、少しずつ眠りが浅くなるのは当たり前のこと。大切なのは、睡眠時間そのものよりも「日中、眠気で困っていないか」どうか。日中の活動に支障がなければ、過度に心配する必要はないとのお話に、会場の皆さんも安堵の表情を浮かべていました。
実は睡眠は「究極の美容法」だった!
「高価な化粧品を使う前に、まず睡眠を見直しましょう」と笠井教授。なぜなら、眠っている間に分泌される2つのホルモンが、美肌作りの最強の味方だからです。
1. メラトニン(睡眠ホルモン)
強力な抗酸化作用を持ち、細胞の新陳代謝を促してくれます。睡眠不足になると、このメラトニンの分泌が減り、お肌の老化に直結してしまいます。
2. 成長ホルモン
皮膚のターンオーバーを促し、紫外線などのダメージから回復させてくれます。また、コラーゲンやヒアルロン酸の生成にも関わっており、不足するとシミやくすみ、乾燥の原因になります。
快眠の鍵は「自律神経」と「腸」の深い関係にあり!
私たちの体を24時間体制でコントロールしているのが「自律神経」。心身を活動的にする「交感神経」と、リラックスさせる「副交感神経」がバランスを取り合うことで、心と体の健康は保たれています。このバランスこそが、質の良い睡眠に不可欠なのです。
そして近年、この自律神経を介して、脳と腸が密接に情報をやり取りしている「脳腸相関」が、睡眠の質を左右する大きな要因として注目されていると笠井教授は語ります。
脳と腸をつなぐ「脳腸相関」とは?
「脳がストレスを感じると腸の動きが悪くなり、逆に腸の動きが悪くなると脳が不安を感じて眠れなくなる」。セミナーで示されたこの言葉通り、脳と腸は互いに影響を与え合う、切っても切れない関係です。
仕事のストレスで脳が緊張すると、自律神経を介してその信号が腸に伝わり、お腹の不調を引き起こします。そして、その腸の不調という“不快な情報”が、再び自律神経を介して脳に送られ、さらなる不安や緊張を生み出す…。この悪循環が、夜になっても交感神経を優位なままにし、心と体を休息モード(副交感神経優位)に切り替えられなくしてしまうのです。
今夜からできる!快眠のための黄金ルール
セミナーの後半では、睡眠の質をグッと高めるための具体的な方法が紹介されました。専門家である笠井教授ご自身の体験談も交えながら、楽しく実践できるものばかりです。
1. 朝の光が夜の眠りを予約する
朝起きたら、まずカーテンを開けて太陽の光を浴びましょう。光が目から入ることで、脳の体内時計がリセットされます。実は、朝の光を浴びてから約14〜16時間後に、自然な眠りを誘う睡眠ホルモン「メラトニン」が分泌されるように予約されるんです。曇りの日でも大丈夫。まずは外の光を感じる習慣から始めましょう。
2. 最高の入浴は「40℃のお湯」で深部体温をコントロール
熱すぎるお風呂は交感神経を刺激してしまい、逆に目が覚めてしまいます。快眠のためには、40℃前後のぬるめのお湯に15分ほどゆっくり浸かるのがベスト。体の内部の温度(深部体温)が一旦上がり、それが下がっていくタイミングで自然な眠気が訪れます。寝る1時間くらい前に入浴を済ませるのが理想的です。
3. 寝る前の1時間は「スマホOFF」タイム
スマホやパソコンのブルーライトは、脳を覚醒させ、睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌を抑制してしまいます。寝る1時間前からはデジタルデトックス。代わりに、好きな音楽を聴いたり、アロマを焚いたり、軽いストレッチをしたり…あなただけのリラックスタイムを過ごしましょう。
4. 自分に合った枕で首を休ませる
枕の高さが合っていないと、気道を圧迫したり首に負担がかかったりして、睡眠の質を下げてしまいます。理想は、自然に立った時の姿勢が、横になった時もそのままキープできる高さ。もし朝起きた時に首や肩にこりを感じるなら、枕を見直してみる良い機会かもしれません。
5. そのいびき、大丈夫?危険なサインを見逃さないで
毎晩の大きないびきや、睡眠中に呼吸が止まっていると指摘されたことはありませんか?それは「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」のサインかもしれません。日中の強い眠気や集中力の低下、高血圧などのリスクも高まります。気になる症状があれば、一度専門医に相談することをお勧めします。
6. 秘密は「腸」にあり!快眠のための食事術
悪循環を断ち切る鍵は「腸」にあります。幸せホルモン「セロトニン」の約9割は腸で作られており、このセロトニンが睡眠ホルモン「メラトニン」の材料になるのです。つまり、腸内環境を整えることが、質の良い睡眠に直結します。
【朝食におすすめ】トリプトファン:メラトニンの材料に。乳製品、大豆製品、卵、バナナなど。
【夕食におすすめ】GABA・グリシン:リラックス効果や深部体温を下げる助けに。トマト、きのこ類、魚介類(エビ、ホタテ)など。
7. 自分に合ったリラックス法を見つける
ベッドに入っても考え事をして眠れない…。そんな夜は、あなたに合ったリラックス法を試してみましょう。 ・深呼吸:鼻からゆっくり息を吸い込み、口からさらにゆっくりと吐き出す。これだけで心は落ち着きます。 ・ヨガやストレッチ:「子供のポーズ」や「ガス抜きのポーズ」など、簡単なポーズで体の緊張をほぐしましょう。 ・アロマテラピー:ラベンダーやカモミールの香りは、リラックス効果が高いと科学的にも証明されています。
まとめ:最高の明日を迎えるために
睡眠は、単なる1日の終わりではありません。疲れた心と体を修復し、新しい1日を最高のコンディションで迎えるための、大切な「準備時間」です。笠井教授の熱意あふれるお話に、参加者の皆さんも大きく頷き、熱心にメモを取られていました。
今回、健康保険組合連合会福井連合会様のご依頼を受けて本セミナーを企画いたしました。全てを変えようと無理をせず、「まずはベイビーステップ、そして1日1%One Action!」を今日から実践していただき、最高の明日を迎えていただけたらと願っています。