放射線治療

放射線治療

がんの形に合わせて放射線を照射。高い治療効果を

IMRT

放射線治療とは、放射線を高いレベルで照射してがんを抑制する治療法。高線量の放射線をあてるほど高い治療効果が期待できます。しかし、がんの形は複雑なうえ周囲を正常組織がとりまいているため、これまでの放射線治療では、がんだけでなく周囲の正常組織にも放射線を照射せざるをえませんでした。よって周囲の正常組織や重要臓器へのダメージを抑えようとすると、腫瘍に対して充分な放射線量を照射できないという問題を抱えていました。

そんな放射線治療の命題に応えるべく登場したのが、IMRTという治療法です。IMRTとは強度変調放射線治療の略称で、放射線に強弱(変調)をつけて、がんの形状に応じた照射を行う治療法。がんの形に合わせて照射することができるので、より安全で高い治療効果が期待できます。トモセラピーはIMRTとの専用機としてアメリカで開発された機器で、強くあてたいところには強く、弱くあてたいところには弱くと放射線の量も調整できるので、より精度の高い治療を実現できます。

IMRT(強度変調放射線治療)

放射線治療の最新技術で、複数のビームを組み合わせて放射線に強弱をつけ、がんの形に応じた治療を行います。放射線の照射口が身体の周りを回転し、がんの形をなぞって照射。より安全で高い治療効果が期待できます。

治療の制度が、さらに向上したトモセラピー

当院では2009年に北陸で初めてトモセラピーを採用。さらに、2012年に新型トモセラピーを追加導入し、2台体制にて放射線治療の充実を図っています。
新型トモセラピーの特色は、トモダイレクトと呼ばれる機能を搭載している点です。従来型のトモセラピーは、放射線の照射口が身体のまわりを回転して照射する方式(ヘリカル照射)で、複雑な形のがんや重要臓器が密集した部位で大きな効果を発揮していました。一方、新型トモセラピーはヘリカル照射に加え、角度を固定したまま照射できる機能(トモダイレクト)を搭載。固定照射ができるようになったことで、ヘリカル照射のみの従来機と比べ、治療の幅が大きく広がります。

 固定照射自体はトモセラピーが登場する以前の放射線治療機(ライナック)でも行なわれていた治療法ですが、トモダイレクトは放射線の強度を変調できたり、寝台がスライドするなどの機能を備えており、従来の固定照射と比べると、がんにより均一な線量を照射することが可能となっています。
複雑な部位にはヘリカルモード、シンプルな部位にはダイレクトモードと使い分けをすることにより、がんの部位・種類に応じてより精度の高い治療ができるようになります。

トモセラピーの仕組み

複雑な形、重要器官が密集した部位に効果的

放射線治療は技術革新とともに発展してきました。その一つが画像の精度が上がったことです。
トモセラピーはがんを狙いうちできるのが大きな特徴ですが、がんに狙いを定めるためには、がんの位置や形を正確に捉えていなければ威力を発揮できません。トモセラピーは照射前に患部の画像をCTで撮影しますが、この画像の精度がここ数年で飛躍的に進歩。がんの位置や形をかなり正確に特定できるようになったため、がんを的確に狙えるようになったというわけです。

周辺の正常臓器を避け、がんに焦点を絞って狙うことができれば、そのぶん高い線量を照射でき、治療効果も高めることができます。
よって、形状が複雑だったり、重要器官が密集した部位に発生したがんにトモセラピーを用いると、より高い治療効果が期待できます。たとえば前立腺がん。隣接した直腸を避け、前立腺のがんのみを狙いうちできるので高い治療効果が期待できます。その他、口、鼻、喉など頭頸部のがんにも有効です。

赤で示したのが前立腺がんの照射部分

赤で示したのが前立腺がんの照射部分。近接する直腸(緑)をさけ、前立腺の形を正確になぞっている

がんのみを狙って照射が可能に

頭頸部は重要器官が密集していますが、ミリ単位でがんの位置を特定できるので、がんのみを狙って照射が可能に。

トモセラピーの保険適応が拡大

2010年の診療報酬改定で、IMRTが、すべての限局性がん(全身に転移していないがん)で保険診療の適応となりました。限局性がんとは全身に転移していないがんのこと。血液がんなどを除く固形の悪性腫瘍であれば、部位を問わず保険適応となります。
これにより、手術前にトモセラピーでがんを小さくして手術を行ったり、化学療法でがんを縮小した後にトモセラピーで放射線治療を行ったりと、他の治療法と組み合わせた使い方もしやすくなりました。根治治療から緩和ケアまで、治療の幅も広がります。
トモセラピーによる治療は、痛みがなく身体的負担が少ないのも利点です。外来での治療にも対応しており、日常生活を送りながら通院で治療が可能です。体に優しいがん治療としても大きく期待されています。
これからのがん治療で大きな役割を果たすトモセラピーに、ご注目ください。

トモセラピーの照射部位
トモセラピーの適応
限局性がん
(全身に転移していないがん)
前立腺がん、頭頸部腫瘍、中枢神経腫瘍、肺がん、食道がん、膵臓がん、直腸がん、子宮がん、膀胱がんなど血液がんなどを除く固形の悪性腫瘍であれば、部位を問わず保健適応

※多発性骨転移・多発性リンパ節転移は保険診療適応とはなりません。
※担当医が不適切と判断した場合には、適応外とさせていただく場合もあります。 ご了承ください。

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